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月刊 未詳24

2010年8月第41号


2024年04月23日(火)15:07


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めぐり えがく
 木立 悟








尖った耳の荒地から
顧みられぬ広場まで
青と灰と青と灰
敷きつめられては動いている


手から手へ
骨から骨へ
やわらかく淡い月齢をひらき
ふたたびみたび閉じてゆくとき


息の無い森へ降る光
指差すものの肩を流れ
径を消す径
鈴おおう鈴に降りつもる


宙の一垂
飛沫の銀河
色は仮名の相
いくつもの指をすり抜けて


硝子の底の底の空が
あまりに水に映えすぎて
誰も呑まなくなってしまった
ひとり青でいる 青でいる



空が剥がれ また貼りなおす
水の重さに 指が痛む
夜はまちがいのように晴れてゆく
青の絵の具を 知らない日のこと



小さな暗雲が
中庭の隅に横顔を向け
描かれゆく一枚の絵を
見つめている


たくさんの手も 指も要らない
風の尾が言う
子らの声を
左目だけで抱き寄せながら




























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すべての夜のために
 丘 光平


さしあげた手のひらはかたく結ばれ
風にふれる風のように かなしみを歌うあなたの口は
どうしてそんなに満ち足りているのだろう


 もうどこへも行き場のない問いのように
定かな空を求めることをやめたあの鳥たちの
安らえることのない細々とした足にさえ
傷みをうれうひとときは残されているというのに


果てのない空が
果てのない海にもうひとつの空をつつみかくして
力尽きて落ちてゆく彼らに
あらたな羽ばたきの夢を開いているのだと


 けしてしずまることのない波打ち際で
真っ赤な水に足をひたしながら
寄る辺のない幾億の年月はうなだれ
仰ぎみる目をもたない孤独の火にくるまれながら


風にふれる風のように かなしみを聞くあなたの耳は
どうしてそんなに満ち足りているのだろう
名もないすべての夜のために





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ひとしれず
 腰越広茂

冷蔵庫でひやしておいた
いちごのあまくつめたいおいしさ
でも、あのひとにはもう
食べさせてあげられない
。。。。。。。。。わたしは今日も
生きのびているというのに
未来をかすめる
ひとくち ひとくち
食道をしずまり歩む
すがた無きものの
強度にもささえられているのだ。
生きていたものたちの
ひとこえ ひとこえ
おぶさる
果実の日影ですのよ。
お蔭さまで
いくつもの実った宇
宙を口にふくむ
ひとつぶ ひとつぶ
果汁ものこさず
こっくりとのみこみ、
伝言をうけとる。
※(となりの宇宙が亡くなったそうよ。)
だれかが今日も。
おもい出をすくえば
この手のひらに、お山の
うぐいすがないている
うららかな日和に
うきあがる
雲ひとすじ。
あきらめも肝心と ほほえむほほを伝う。
うつろなうわめづかいで
冷蔵庫にふたたびいちごをひやす
ひかれ
あっている今日も。
ここにあります
あのひとのひろがる宇宙



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 木本綾
 鈴木妙
彼氏の部屋へ向かう途中
交差点で待つ車が五台すべて白い
わたしは脇のベンチに座り
タバコに火をつけた

初夏の陽の反射を
差し向けられ目を細める
生み出された汗が腋をにじませる

たぶんその瞬間に母は息を引き取った
交通事故だった

このタバコは彼氏が「欲しい」とメールしてきた
ぶんで新しい箱を買わないとまた殴られてしまう
だろうけどそんなことはどうだって
構わない

楡の木が後方から
影を揺らせ
プリズムたちは
いっせいにブタやカエル
あるいは星へと変化していった

わたしはそれをとても良い符丁だと感じる

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Avant Elimination
 葉月二兎

心臓を曲がり出る侵入した
 のはカテーテル
 が、庭園をすこし潜
り抜ける身体を結ぶ殻
から

代わり、に
僕は
あらわにひかれた
緑色の線と
 卵とに、
花の象りをなぞっている

先に
いった
 あなたの
それ
が、あなたと私のしの背
 表し、
し、
本の気まぐれと、手
 表し

 雪とニッケルで
作られたそれ
ら、の巣
 しゅの

撥ね散った水滴を狙うコウモリ達の聴覚の先に電車が一両走っている
なんで
 窓枠からあのお
 じいちゃんはこちらをみ
 て、いる

こと、に色を
 変えるカメレオンの牢獄から僕は逃れているか
ら白濁した君の入
れ、

は てた毒物が水を与えて
いるから、口
 を縦方向
に、あける僕の
輪廻
 を、かわし

 身体のなかの、血のかよっていない一室
から、は
風見鶏はどの方角を示して周るのだろうか
 あなた
は、しりたい

モーターは磁力の軽やかさを移用して
それの目と鼻は氷牙の切っ先に触れる

から木洩れ日が
 外郭を切り取って
くれた花をそれに供える
よ、
 カササギ
の首をへし折る
ランボー
ししゅうから色

 さい、が
僕の混乱じみたシャツの観念に産気づいた
 両足のそ
 れに、紛れた

セラトニンを服用した
が、その肋骨にメモリ
を差し込んだ
 コウノトリさん

Son? Or,

Sun

その僕

残酷に
も、息の消えるさい
 に、神がその嗅覚に
悍ましい腐
 臭をただよわせます

あなた
が、代わりにそれを使って運ばせるように
し、は
 、しばし
意味に触れることはし
 ない

し、は
いし
 ごとに、モルヒネを
おじいちゃんのい
はい、に、
カササギを

とりどりに、とり
 のぞかれ
ました

 それ
が、あなたと私の
 あらわし
また
うとましく、ある
 いは、
明確な理由も
なく

輪廻
 を、かわし

きみと
 かみの
し、が
僕に安息をもたらし、
 しますように

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