未詳24 付録

朗読

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新規スレ



瞬きのうちに夜になる―シタール

(朗読) ホロウ

狂った虫の乱れ飛ぶ強い日向の幻想だ、おまえの喉もとには高熱、あらん限り俺が注ぎ込んだ、強欲な素面の状態…ひっきりなしに喉を鳴らしているのは飲み下すのが怖いせいだろう―蛇口から水滴、濡れた部分のだらしなさを嘲笑うみたいに気の無い調子で跳ねていやがる、用意した茶器が役にも立たないうちに埃を被っているのが見えるだろう?
いかさまなアンテナのラジオから地方のニュース、とある事故の死亡者数のアナウンスの途中で血を吐いたブロック塀の上の野良猫、それが地面まで垂れるのを待って舐めているバセットハウンドのグロウリー…意を決して飲み込んだおまえは激しく咽て昼飯を汚した
俺はそれを罰するために臀部に長い爪を突き刺す
爪の先にこびりついた浅いところの血からは淡水魚の味がする、おまえが肉にいっさい手をつけないせいだ―おまえから産まれた魚を食らう―背びれがもったいぶった指先みたいにビクビクと蠢くのを感じるよ…汚れた皿は庭にでも放り出しておけばいい、所詮焼き上げたものだから生命と同列に並ぶことは出来ないよ
狂った虫の乱れ飛ぶ強い日向の幻想だ…俺の指先は小刻みに痙攣しながらかつての忌まわしいものたちを勘定している…爪の隙間からぽろぽろとそのときの空気が零れ落ちて行くんだ、痒い!それは途方も無いほど痒い、震える指先をおまえの真理に差し込むとおびえた猫のようにおまえは縮こもる、俺のかつての中にひそむものをおまえはすべて吸い込んでしまうのだ、それがどんなものかおまえには判らないから…おまえのエンブリオで痛みに変換される、悲鳴を上げるのはよせ、騒がしいうちは悲劇など本当ではない
目覚まし時計が長い長い時を駆けてベルを叩いている、寿命が機械化された意味の無い蝉のようだ、俺はおまえの中に身体を半分溶かしながらハンマーを探した、まがいものではない、本当に何かを叩き壊すための重力を生み出すことの出来るハンマー、それは苛立って声を上げた口の中に隠れていた、引きずり出して放り投げると目覚まし時計は運命のように壊れ…二度と鳴ることは無かった
運命の音というのは多かれ少なかれ金属音を伴うものだ…俺はそれを文語的表現だとは特に思わない、文語的表現について口を酸っぱくしたがるのは―現実の痛みや痒みを詳しくそうと知らない奴らばかりさ
狂った虫の乱れ飛ぶ日向の幻想、潔く晴れた冬の温度をおまえは知らなかった、それはもちろん俺だって…暴発を繰り返す安物の銃、それを素敵だと言い張る安物のおまえ―塀の上で血を吐いた猫はすでに死出虫で塗れていた、硬質な羽の音…マスタリングのきつすぎるシタールの弦のような…塀の下にいた犬はどこかに行ってしまった、血のついたそいつの足跡の続く先で中年の女の叫び声が聞こえた、喧騒…何か重たい肉を打つような音、あいつもきっと死んでしまうんだろう―哀しみなんて語るものじゃない、俺たちのいまが犬死に同然じゃないだなんておまえには言えるというのか?
冷凍スペースの中でギチギチに冷えた氷がフロイトについて話している、でも俺たちはそんなことに注意を払わない、俺たちが最も眼を見開かなければならない時間はとっくに過ぎてしまったんだ(しかもそれはどんな理由を貼り付けてもまったく何の意味もありはしなかった)氷は解ける…冷凍スペースの中で、ギチギチに冷えたまま…完全に押し黙ったとき、奴は氷でありながら違うものの夢を見ている
老人が枝を振るい、死出虫どもが舞い上がる、見ろ、ああ、見ろ…あれはどんなものにも言い訳の出来ない死…猫は肉塊をわずかに残した骨となり、それはまるで着古されて捨てられた上着のようだ、ぐしゃっとしていて…ぐしゃっとしていて、すべてを諦めたみたいに見える、死出虫どもの羽音、マスタリングのきつすぎるシタールの弦のように響いて…肉の匂いがする、肉の匂いがするよ、なあ、何かを煮詰めているのじゃないのかい、おまえは朦朧として、ああ、だらしなく涎を垂らして…俺たちはどんなことをすればもっとも美しいものになれるのだろう?日向はどこへ行った、日向はどこへ行ってしまったんだ…いつからそこにいたのか判らない雀蛾がひとり
配合の下手糞な眠り粉のような鱗粉を降らせている…





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星霜はこぼれ

(朗読) ヒズム

 
 
渋滞を編む車窓から
光を集束する夕日レンズ

いつか嗅ぎ合ったアルコールランプ
散り散り燃える雲の匂い


鉄橋で泣いていた少年は
手にこびりついたサビをなめた

収穫を終えた田園で
今日を締めくくる狼煙が上がった



こんな

ただの夢なのかもしれない

鋭い月を受け入れて
天空で揺れる銀色シンク

満杯になっていた星霜は
そろそろ順にこぼれていく


当然のように


急速に冷えていく手すりを握る
秋の温度を思い出す

 
→ダウンロードページ

[朗読レス2件]
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「白梅」ピクルス

(朗読) 藤丘

 
かわいがっていた犬が死んだ夜に
新しい犬を飼おうと思う人がいました

家族、いなくなる為に準備をして
汚れた服を着るほかないのなら
いぶかしそうな視線に
それでも
違います、とは云えぬまま静かに会釈をして

手に入れた人は語り始める
喪った人は黙り込む
この人でしょうか
その人ではありません
手紙には感謝の言葉ばかりが並んでいたそうです

前髪に月が触れる帰り道
給水塔には鳥の神様がいらして
遠くの河を覗き込んでは
死ぬるよりマシだ、と呟かれた
そういうふうに出来ている

かわいがっていた犬が死んだ夜に
新しい犬を飼おうと思う人がいますか

笑ってる写真には見えない水が巡る
重なった祈りは唇から黒髪から滑るように溢れ
数を忘れた指先から散りゆく鳥達の色
綻び始めた春の星空に
安心したように灯りを消して
また、ひとひら浮かべては
未だ、触れられずにいる
たくさん謝って、こどもになった人達は
夢の中で
おかあさんの掌を探します
滲んだ溜息の最初からおしまいまでが
いっせいに、いっせいに許されてゆく

かわいがっていた犬が死んだ夜に
新しい犬を飼おうと思う人がいたとしても
 
動画286.2
[朗読レス1件]
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即興詩

(朗読) 吉田群青

 
食パンに
塩を振りかけて食べる
雨が降っている

明け方に米を計りながら
さみしさについて考える
雨が降っている

ポケットが
何かで膨らんでいる
なまあたたかいそれは
まるで小さな
わたしのように思えた
雨が降っている

雨が降っている
それとも
やんでいるんだろうか

見下ろす町は
濡れたように黒く
光っている

 


◆月刊 未詳24編集部より

上記の朗読ファイルはmp4形式になっておりますが、
吉田群青さん御自身が朗読する動画そのものが重過ぎてアップロード出来ない状態です。申し訳ありません。
ドコモのメールには添付出来ますので、御希望なさる方はピクルスまで、題名を「吉田群青動画希望」と書いてメールください。
zep2614@docomo.ne.jp



[朗読レス0件]
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死ねるやつから死ね、死ね、死ね

(朗読) ホロウ




ぬるくやさしい沈黙が窒素充填に似た密度で
午後の長ったらしいまどろみに流線型のまぼろしを残す
ひとすじの線を長く引くように
トランペット吹き続けるチェットベイカー
伺うような赤蜻蛉の羽のリズム(ブラシ・プレイと時折シンクロしてひかりを跳ねる)
いってしまうものたちが強く微笑む八月
忘れるころには頬伝う汗が嘘になる
詩面になるような心を
リアルにそうと確かめたことなんかない
羽ばたきの速度が足りないやつらは
同じところで同じかなしみを違うみたいに歌うのみさ
今はただ犬みたいに口を開けて世界を穴ぼこにするような夕立を待つ
ウィークエンド
日々擦り切れるトランスミッターに怯えながらひとつの約束を交わした
泡のようなものにこそ食い下がってしまう、それこそが―
それこそが本当だってとっくの昔に判ってるはずじゃないか(きっと、類人猿が枝で火をおこし始めたときから)
水を連想させない
川べりでヤゴが孵化する、次々と、次々と、螺旋を繋いで、明日噛み切るだろう
小虫の事に思いを馳せて
それは人知れず胸中を流れる涙とブルー・インパルス・ショーの様にいくつかの線を互い違いに―互い違いに描いて
次々と、次々と、孵化して、孵化して、孵化して―
程なく手の届かない高みまで
あっという間に羽ばたいてゆく
そんな風になれたらいいのに、そんな風な潔さを持って―
鋭利な歯を、食い込ませることが出来れば
どうして?狂ったように夏の日だ、そんな熱など俺は望んではいないのに
ギリギリまで詰め込んだハードディスクみたいに鈍重に自転している
「死ねるやつから死ね、死ね、死ね」と
デヴィッド・カヴァーデイルみたいな声で歌うツクツクボーシ
ゴダールの手法のような休日ののぼせ
挨拶はいずれまたゆっくり、とでも言わんばかりに
いつかすれ違った懐かしい誰かから突然の私信が届く
メールアドレスにそいつらしさを探すのは
エレクトリカル・エイジのすることじゃない
ひとすじの線を長く引くようにトランペット吹き続けるチェットベイカー
何も知らされていない
柔らかい羽の蜻蛉がまた旅に出る
ああ、ハンド・クラップのように死んでいく透明な羽、ねえ、ねえ
お前のかなしみを見るにはいくら払えばいいのか教えておくれ
出来る事ならそんな印字をディスプレイに散りばめたい
死ね、死ね、とツクツクボーシ
いってしまうものたちがまた
強い力で微笑みながら…




動画405.3
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「そらいろ」N哉

(朗読) 蟻井ミウ

 
 どうして空は青なの

 肌色に違和感を感じた人間は少なくない。茶色より「焦げ」茶色を使った方が樹木らしくなるように、緑色は製造された時点でエゴでしかない。

 クレヨンとタケシが見つめ合っている。

 空が青いと決まってから、青い鳥は見えなくなり、ローソンは閑散とした。夕焼けが赤いと決まってから、我々の血液は濁り始め、テストの戻しには哀愁を感じた。

 新しい色を知る度に、タケシは益々冷めていく。

 夜を黒いと決めてから、大人は黒い服を好み、鳩を白いと決めてから、主婦や軍人は忙しくなり、タケシも画用紙を塗り潰した。

 それでも、空は青い、海は青い、地球だって真っ青だ。しかしお前がいつか好きな子に振られて流す涙は、それらと比べものにならない程に、青いだろう。

動画166.9
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「シオリちゃん」藤丘

(朗読) ピクルス

 
シオリちゃんは、わたしを見つけるといつも
はじめまして、と言う
わたしも、はじめまして、と言う

たくさんいっしょに遊んでも
次の日には、わたしのことを覚えていない
でも、シオリちゃんは、
おかあさんだけは絶対にわすれない

シオリちゃんは、ときどきどこかへ行ってしまう
みんなは探す
わたしは居場所を知っている
シオリちゃんの時計の音が微かに聞こえているけれど
約束したから誰にも言わない


修学旅行のとき別々の部屋になった
シオリちゃんの側らには
いつも先生がいらっしゃる

シオリちゃんは、こっそり部屋を抜け出して
お土産を選んでいるわたしに
はじめまして、と声をかけた
きょうは、おかあさんがいないので
いっしょに寝よう、と言う


星が泣いているから可哀想だと言って
シオリちゃんは目をこする
そうね、と見つめていると
シオリちゃんの二つの宙にすいこまれそうになる

子守唄をお願い、と言うのでわたしは歌う
その唄を知っているけれど
いま、はじめてきいた、と
シオリちゃんは言う

わたしは子守唄を歌う
お布団の上から軽くトントンとしながら
おかあさんの代わりに歌い続ける


シオリちゃんの瞳はしだいに空と海を映しはじめる
一羽の白い鳥が水平線の向こうから
ほろほろ、ほろほろと鳴きながら近づいてくる
あまりに、かなしく鳴いているので
わたしも、ぽろぽろ、ぽろぽろと泣いてしまう

シオリちゃんは、わたしの濡れた瞳をまっすぐに見つめ
お日さまのように微笑んで子守唄を歌ってくれる
はじめてきいた唄を、さらさらと歌う

シオリちゃんは青いリューズを巻く
満天の星空が瞬きだす

それから、ふっと夜空を指して
いま、空が笑った、と
シオリちゃんは笑う

動画385.0
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「siberia」しもつき、なな

(朗読) 藤丘


浸された水は
つめたく
ねがえりもできないほどに
なぜか凍みたまま
あの人ごとをさらって
いって

かなしい
のふちにいるあの人
たしかにいかされ、芽生え
一つの
さむさの中にいた


冬のにおい
どこかシベリア、
きれいなばしょでだきあえたらいいね
もう少し近いよ
少し



ice
あの人の
動物のぶぶんは温かく
ひどいことばだって浴びれずにいたから
底までゆけたのだね
あっぱく
舌のぬるさは知られちゃ
いけない



こごえるより溺れるからだをえらんだ
それでもキスは氷で



あの人は視力のない
あおい瞳をくれた
さびしい毛並み、



(siberia)



動画183.1
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イラスト(ROBERT PLANT)/竹田洋子
(不定期で変わります)
(画像倉庫は此方)

★動作確認★

iモーションでは901シリーズ以降の全機種で聞けます。それ以前の機種でもiモーション機能に対応している端末は大丈夫です
auは動画ダウンロード板のファイル形式をEzWeb専用に切り替えて聞いてください。
現在、市場に出回っている全機種で聞けます。
Softbankは一部の機種でのみ聞けますが、そもそも200kbを越えるファイルは落とせない仕組みだそうです。申し訳ありません。
ウィルコムには非対応です。申し訳ありません。
PCユーザーの方は、アップル・クイック・タイムhttp://www.apple.com/jp/quicktime/download/win.htmlをダウンロードしてインストールして下さい。無償版で大丈夫です。

au機種による再生不具合について。
auの全機種で朗読ファイルをDL可能ですが、再生に不具合が生じる機種がメーカーによって存在するようです。
現在のところ当該機種はW42H、CAシリーズの全て、などです。これはDLしたファイルを携帯内部で振り分ける時に生じるエラーのようなものですが、auも製造メーカーも不具合だとは認めておりません。
明らかにミスだとは思いますが、かかる現状では、当該機種の環境が改善される見込みは無い様子です。申し訳ありません。











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