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供か?いるには、いや、いたにはいたのだが……今頃は視察先の工房頭に娼館にでも叩き込まれているだろうな。 俺は噂の正妻が城で待っていたからな。 ……それにしても其方、機転が利くじゃないか。 (戻した岩の小さな隙間へ先程手渡したこよりの松明をこの暗闇の中躊躇なく放り込んだのを不思議そうに見ていたが細く息を吹き込む様を見れば、暫くしてから微かに鼻先を擽った燻る火の香りに驚いたようにぱちぱちと目を大きく開き。そういう使い方があるとはまさに目に鱗、と言わんばかりに相手を見つめ自身にはまるで思い付かなかった知恵に好奇心をそそられながら実践の機会があれば次は自身が誰か……部下か或いは友人かに教えてみせるのも吝かではないなと年甲斐もなく悪戯事を企むように斜に笑みを浮かべて。ふと、どこかしみじみとした幼年の父親との体験を、今思えばああだったこうだったと懐かしみ振り返ってみせる相手の横顔。それをどこか遠目に眺めながら自身の場合は実兄にそれを置き換えてみれば、なるほどなんとなく理解出来るような、出来ないような……情を与えた娘に対する父の優しさに納得したように頷き口を開きかけたが、その最中相手がふと形作った手の中になんとはなしに目を向けてしまって、ほんの一瞬でなんとも言えない表情。元気に動き続ける細長い、肉色をした、ソイツがあまり好ましいものではないのを隠しきれていない声色で告げて。) ──ふうん、そういうものなのか。 俺の場合などは……前帝には声を掛けられた事すら片手の指で収まる程度だったのだが、その代わりにと当時からお忙しい身であった陛下が幼い俺を気に留め、そういった教育を手配して下さったのだ。 だから、うん、其方の父君の言いたかった事も少しは理解出来よう。 貴族然とした良き父だったらし……ヴッ。 ……、…………その、逃さぬか?それ。
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