エターナルゾーン日記板
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ーーーーーーーーーーーーー 皇国の騎士と男の姿が闇の中へ消えていく。 マーサルは陰から飛び出した。 「どういうことだ……!?」 頭が追いつかない。 なぜ皇国が。 なぜ今。 なぜ彼を。 答えの出ない疑問ばかりが浮かぶ。 ―――――――――― 「ラウスさん!」 ラウスが振り返る。 「! マーサルか」 「どうして皇国の者が来たんですか!」 マーサルは息を切らしていた。 「いや、それより――」 拳を握る。 「なぜ彼が連れて行かれたんですか!」 ラウスは黙る。 その沈黙が余計に不安を煽った。 「ラウスさん!」 返事はない。 「ラウス先生!」 思わず昔の呼び方が出る。 「答えてください!!」 店内に怒声が響いた。 ラウスは目を閉じる。 やがて重い息を吐いた。 「……マーサル」 低い声だった。 「実はな――」 ―――――――――― しばらくして。 店内には重い沈黙が流れていた。 マーサルの顔から血の気が引いている。 「な……」 唇が震える。 「そんな……」 信じられなかった。 いや。 信じたくなかった。 ラウスは静かに言う。 「あの子には荷が重すぎる」 視線を落とした。 「あまりにも酷だ」 マーサルは何も言えない。 胸の奥が締め付けられる。 昼間。 無邪気に笑っていたレインの顔が浮かんだ。 「まさか……」 ラウスは強く言った。 「いいか」 マーサルを見る。 「この話はおめぇとオレだけの秘密だ」 「……」 「絶対に口外するな」 ラウスの表情は真剣だった。 「もし知られちまったら」 その声は低い。 「あの子が危険になる」 マーサルは拳を握り締める。 やがて小さく頷いた。 「……はい」 その時だった。 後ろから足音が聞こえる。 トテトテと小さな足音。 二人は同時に振り返った。 「ねー」 レインだった。 「ちっこどこ?」 「!!」 二人の肩が跳ねる。 思わず顔を見合わせた。 レインは不思議そうに首を傾げる。 「?」 マーサルは慌てて笑顔を作る。 「あー、トイレか!」 しゃがみ込む。 「よし、一緒に行こうな!」 レインは頷く。 しかし次の言葉で。 二人の表情が固まった。 「お父さんは?」 静寂。 ほんの一瞬だった。 だが妙に長く感じた。 マーサルは無理やり笑う。 「い、今出掛けてるんだ」 「おでかけ?」 「ああ」 頭を撫でる。 「すぐ帰ってくる」 レインは少し寂しそうな顔をした。 それでも素直に頷く。 「うん……」 マーサルは胸が痛んだ。 何も知らない。 何も知らされていない。 ただ信じて待っている。 その姿が。 どうしようもなく苦しかった。 二人が店の奥へ消えていく。 ラウスはその背中を見つめていた。 しばらくして。 誰にも聞こえないほど小さく呟く。 「……これでいい」 そして目を閉じた。 「きっと、恩返しにはなる」 ーーーーーーーーーーーーーー
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