エターナルゾーン日記板
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旅立ちの時 ーーーーーーーーーーーーー 朝。 工房の前には旅支度を終えたレインが立っていた。 ラウスは腕を組んだまま、その姿を見ている。 「いよいよだな」 レインは少し緊張したように笑った。 「うん」 ラウスは懐から小さな箱を取り出す。 「レイン」 「?」 「お前に渡しておかなきゃならねぇ物がある」 レインは首を傾げる。 ラウスは静かに箱を開いた。 中には指輪。 緑色の宝石がはめ込まれている。 「これって……」 レインは目を見開く。 「指輪?」 「ああ」 ラウスは頷いた。 「俺には使い道が分からなかった」 指輪を見る。 どこか懐かしそうに。 「だがお前なら」 少し笑う。 「きっと見つけ出せるだろう」 レインはそっと受け取った。 不思議な温もりがあった。 「これはな」 ラウスの声が少しだけ低くなる。 「お前の本当の父親の物だ」 レインの手が止まる。 沈黙。 風だけが吹いていた。 ラウスは目を伏せる。 「レイン」 何年も言えなかった言葉。 「俺は本当はな」 口を開く。 「お前に――」 「分かってるよ」 ラウスが顔を上げる。 レインは笑っていた。 優しく。 自然に。 「僕には」 指輪を握る。 「本当の父さんがいたんだと思う」 ラウスは何も言わない。 言えない。 「でも」 レインは続ける。 「今の僕にとっての父さんは」 真っ直ぐラウスを見る。 「父さんだけなんだ」 ラウスの目が揺れた。 6年。 鍛冶屋として。 父親として。 育ててきた。 その全てが報われた気がした。 レインは笑う。 「行ってきます」 ラウスはしばらく黙っていた。 そして。 力強く頷く。 「ああ」 いつもの声で。 「ああ」 もう一度。 「行ってこい!」 --- その頃。 サンは荷物を背負っていた。 「準備はできたっすか?」 「うん!」 レインが笑う。 「もう大丈夫!」 ティールは腕を組みながら二人を見る。 「寂しくなるわねぇ」 少しだけ笑う。 だが目は真剣だった。 「いい?」 レインへ指を向ける。 「絶対無事に帰ってくるのよ?」 「うん!」 「外は危険なんだから」 「うん!」 「無茶しちゃダメよ?」 「うん!」 ティールはため息をついた。 「ほんとに分かってるのかしら……」 そして周囲を見回す。 「あれ?」 首を傾げる。 「時間は伝えたはずなんだけど」 その時。 遠くから声が聞こえた。 「はわぁぁぁ〜!」 タッタッタッタッ! 「ま、待ってくださ〜い!!」 全員が振り向く。 そして。 ガッ。 「はうっ!?」 ズザーーーーッ!! 見事に転んだ。 全員沈黙。 ティールは呆れた顔をした。 「あら」 「ようやくご登場ね」 レインが駆け寄る。 「大丈夫!?」 サンは吹き出した。 「いやぁ」 腕を組む。 「派手に転んだっすねぇ」 少女は真っ赤になった。 ティールはレインを見る。 「この子、ルーデル」 そして苦笑する。 「見ての通りドジだけど」 ルーデルがさらに小さくなる。 「魔法の心得があるわ」 レインは目を輝かせた。 「魔法!」 ティールは頷く。 「それに」 三人を見る。 「あなたたちならきっと仲良くなれる」 ルーデルは慌てて頭を下げた。 「わ、私……ルーデルといいます」 緊張で声が震えている。 「よろしくお願いします……!」 レインは笑った。 サンも笑った。 こうして。 レイン。 サン。 ルーデル。 三人の旅が始まった。 「行ってきまーす!!」 「それなりに頑張るっすー!」 「足手まといにならないよう頑張ります……!」 ティールは大きく手を振る。 「頑張ってきなさい!」 旅立ちの朝は。 晴天だった。 ーーーーーーーーーーーーーー
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