エターナルゾーン日記板
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ーーーーーーーーーーーーー ラプトの朝は賑やかだった。 「元気だったかあ!みんな!」 食堂の扉が勢いよく開かれる。 聞き覚えのある声に、エリオは思わず額を押さえた。 「急に居なくなったと思えば..」 呆れたようにため息をつく。 「先に帰っていたのか」 「にひー!」 当の本人は悪びれた様子もない。 小柄な体を揺らしながら笑うアッシュに、ツキが額へ青筋を浮かべた。 「アンタってなんというか自由すぎよ!このばか!くのくのー!」 ぐりぐりぐり。 「ははーわりわり!」 頭をこねくり回されながらも楽しそうだ。 バロンズは椅子に腰掛けたまま問いかける。 「いつ戻ったのだ?」 アッシュは顎に手を当てた。 「ンーー..( -_・)」 数秒考え込む。 「半年くらい前だったかな!」 食堂が静まり返る。 エリオが目を閉じた。 ツキが天井を見上げた。 バロンズは眉間を押さえた。 「では、キースの件にも気づいていたという事だな?」 「おー!」 アッシュは元気よく頷いた。 「おいら、帰ってきたんだけんど」 パンをかじりながら続ける。 「若様に追い出されっちまって! かなわんね!」 まるで近所で犬に吠えられた話でもするような口調だった。 「仮にも我が親衛隊ともあろう者がなんたることか!」 バロンズが机を叩く。 しかしアッシュは頭を掻くだけだった。 「へへ...」 少し照れたように笑う。 「おいら若様にゃ頭上がんねかんな」 その言葉に、エリオは小さく息を吐いた。 「まったくお前は」 だが責める気にはなれない。 昔からそうだった。 アッシュは誰より自由で、誰よりキースに忠実だった。 「アッシュにも夕飯を..」 エリオが言いかけた瞬間。 「既にご用意しております」 マエストロが当然のように答えた。 誰も呼んでいない。 誰も指示していない。 それなのに、アッシュの前にはいつの間にか湯気の立つ料理が並んでいた。 エリオがゆっくり振り向く。 「あなた本当に何者なんです..」 マエストロは優雅に一礼しただけだった。 アッシュはそんなことなど気にも留めず。 「んめー!」 肉へかぶりつく。 「んでんで!」 口いっぱいに頬張ったまま辺りを見回した。 「若様はどこいったー(゜Д゜≡゜Д゜)?」 ―――――――――― 事情を聞き終えた頃には、皿の上の料理は綺麗になくなっていた。 「....という訳だ」 バロンズが話を締める。 「そかそか...」 アッシュは珍しく静かな声を出した。 いつもの軽さが少しだけ薄れている。 「若様も様子が変だったからなー」 その一言に、バロンズの目が鋭くなる。 「変とはどういうことだ?」 「んー」 アッシュは椅子にもたれかかった。 「おいらたちが旅に出てからよー」 天井を見上げる。 「もう四年は経ってただろー」 懐かしそうに笑う。 「その頃と半年前じゃー、まるで人が変わったみてーだったぞー?」 エリオが腕を組む。 「四年もあれば男は変わるものだ」 少し格好つけながら頷く。 「特に坊っちゃんくらいの年齢はな」 ツキがじとっとした目を向けた。 「そういうこと言ってんじゃないのー...もう」 呆れたように肩を竦める。 「その間に何かあったみたいね」 バロンズは黙って考え込んだ。 やがて。 「...ピエトロをここに」 静かに命じる。 「既にここに」 背後から即座に返事が飛んできた。 エリオが反射的に振り向いた。 「予知かなにかか...?」 マエストロは微笑むだけだった。 ツキはピエトロを見る。 「あらーー」 しげしげと眺める。 「トロっぴも随分老けたわね?」 ピエトロが苦笑する。 「は、はぁ...」 「元からおじいちゃんだったけど」 「......」 ピエトロは何も言い返せなかった。 「さあ、早く話せ弟よ」 マエストロが優雅な笑顔で促す。 だが目は笑っていない。 ピエトロは小さく咳払いした。 「キース様が変わったのは主らが旅に出たすぐのことです..」 食堂の空気が静まる。 「初めは二人や三人ほどが出入りするようになりましたが」 バロンズが眉を寄せた。 「一月もすればその数は20にものぼっておりました」 異常だった。 屋敷の者で気づけなかったはずがない。 それほどの人数だ。 「その頃から私はある夢を見るようになっていました」 「夢?」 バロンズが聞き返す。 「は、はい。。」 ピエトロは頷いた。 「ぐるぐるとした光景がただひたすらに広がる夢でした...」 思い出すだけで気味が悪い。 「それからのことは記憶がなく..。」 エリオが静かに目を細める。 「睡眠中になにかを仕掛けられたようだな」 「聞いたことがある」 バロンズが呟く。 「聖地ザインを抜けた更に奥地に、不思議な力を用いる村があると」 ツキがぱっと顔を上げた。 「じゃ、そこに行ってみればいいのねー」 簡単に言う。 「なにか手がかりが残ってるかも」 「若様を諦めるなんてできないぞ!」 アッシュが机を叩いて立ち上がった。 その声だけは真剣だった。 バロンズはしばらく黙る。 やがて深く息を吐いた。 「汚点を放っておくわけにもいかんか...」 誰にも見えないように目を閉じる。 「明日、皆で向かってくれ」 「了解!」 エリオが即答した。 ―――――――――― 一方その頃。 荒れ果てた修行場。 「............」 「............」 マーサルとレインが向かい合っていた。 静寂。 風の音だけが響く。 「.......オイ」 マーサルが眉をひそめる。 返事はない。 「............」 レインは微動だにしない。 マーサルはゆっくり顔を近づけた。 スッ... 「アーーーーー!」 次の瞬間、怒鳴り声が響く。 「おまえレインなに寝てんだコラ!しっかり集中しろー!」 「でへ...ばれちった」 レインが舌を出す。 「ったく..」 マーサルは額を押さえた。 「残り二日しかねーんだ」 真面目な顔になる。 「そんなじゃ習得できそうにねーぞ」 「だーってこれむちゃくちゃ難しいんだもん!」 レインは地面を指差した。 「見本も見せてくんないしさ!」 「だーから言ったろうが」 マーサルは鼻を鳴らす。 「パーフェクトな俺でもこれだけは使えないんだよ」 胸を張る。 「でもなきゃお前にやるもんか」 「集中集中」 「聞けよ!」 修行は今日も騒がしかった。 ―――――――――― 「あっおかえりなさい」 ルーデルが本から顔を上げた。 「リッカちゃん」 リッカが部屋へ入る。 「お勉強でもしてるの?」 「あ、あの。これはね」 ルーデルは本を持ち上げた。 「『植物大図鑑』って言うの」 少し照れたように微笑む。 「私ね、色々なことを調べるのが好きなの」 「へー...」 リッカが頷いたその時。 「あーーーーー!暇っす暇っすー!」 勢いよく扉が開いた。 「ドーン参上!なんちて!」 サンだった。 「ちゃっす二人とも!」 両手を広げる。 「オイラが遊びにきたっスよー嬉しいっスかー!?!?(。>ω<)ノ!」 そして。 「....ハッ!」 嫌な予感がした。 直後。 ブキュッ 「やかましい!」 リッカの足が顔面へめり込む。 さらに。 フミフミ。 グリグリ。 「ううっとんだ歓迎っスね...」 床に埋まりながらサンが呟く。 ルーデルが慌てて指を立てた。 「サンちゃん、エレナちゃんが起きちゃいますよ?」 「ホワッ」 三人の視線がベッドへ向く。 そこには。 「....Zzz」 気持ちよさそうに眠るエレナの姿。 リッカは呆れたようにため息をついた。 「ほんとおかしなモンスターだわこいつ...」 サンは床にめり込んだまま親指を立てた。 「光栄っス!」 ーーーーーーーーーーーーーー
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