エターナルゾーン日記板
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ーーーーーーーーーーーーー 険しい山道の途中。 ようやく腰を下ろした一行の前には、ルーデルが用意してきた弁当が広げられていた。 ラプトの料理人たちが腕を振るったらしく、蓋を開けた瞬間から香ばしい匂いが辺りへ漂う。 「ばくぶぁくふがもがへが!!」 サンは既に口いっぱいに食べ物を詰め込んでいた。 何を言っているのか誰にも分からない。 「う...うまいっすー!!」 どうやら美味いらしい。 「気色悪い」 リッカは呆れたように言いながらも、しっかり弁当を食べていた。 「ま、まあまあ...」 ルーデルが苦笑する。 せっかく作ってもらった弁当なのだ。 美味しそうに食べてくれるのは悪い気分ではなかった。 「はいエレナ、あーんして♪」 ミナは完全に保護者モードである。 「あーー」 エレナが口を開く。 その無防備な姿を見た瞬間。 「!かっわっいっいー!」 ミナが悶絶した。 テルミラの巫女としての威厳など欠片も残っていない。 「おい」 瓶の中から声がした。 誰も聞いていない。 「むぐむぐ」 サンが口を動かしながらリッカの弁当を覗き込む。 「リッカそれいらないっすよねいただきっ!」 ひょい。 ぱくっ。 「あ!」 リッカが目を見開く。 「このチビ!」 「ブキュッ!!」 拳がめり込んだ。 「あへへ、もうたべちゃったっすw」 サンは懲りない。 「...おい」 再び瓶の中から声がする。 やはり誰も聞かない。 「さ、サンちゃん」 ルーデルが慌ててなだめた。 「まだたくさんあるから、ね」 「あらっ、このお芋美味しい」 ミナはのんびりと食事を続けている。 そしてついに。 「おいっ!!いい加減にしろ!」 ゴンゴンッ! 瓶の中のグルンガが壁を叩いた。 一同の視線がようやく集まる。 「あら?」 リッカが首を傾げる。 「声が小さすぎて聞こえなかったわ」 完全に嘘だった。 「さっさと出せ!」 「なんでよ?」 悪びれる様子もない。 「腹が減った」 グルンガは歯を食いしばる。 「はやく飯をよこせ小娘」 「なーんか怠いわね〜」 リッカはわざとらしくそっぽを向いた。 「くっ、この...」 怒鳴りかけたグルンガが突然固まる。 「うおっ」 額に汗が浮かぶ。 「なんだお前」 瓶の向こう。 エレナがじーっと覗き込んでいた。 「じーーー」 逃げ場はない。 「何を見ている」 グルンガが顔をしかめる。 「そこにある肉を持ってこい」 エレナはにっこり笑った。 「あはっ!」 そして。 キュポッ。 「ごはんですよー♪」 楽しげに肉を詰め始める。 「おわー!!」 グルンガの顔色が変わった。 「瓶に詰めようとするやつがあるか!!」 ぐぐぐぐぐ。 肉が眼前に近付いてくる。 「つ、つぶれる!」 「あははは!」 エレナは大笑いだった。 グルンガの悲鳴だけが山へ響き渡る。 ―――――――――― それからしばらくして。 一行は再び山道を歩いていた。 切り立った岩壁。 遥か下に広がる深い谷。 人の住む場所など到底思えない秘境。 そんな場所を越えた先。 リッカが足を止めた。 「見えてきたわ」 全員が前を向く。 「あれが私の育った村よ」 山々に囲まれた巨大な集落がそこにあった。 石造りの家々。 広大な畑。 外界から隔絶されたとは思えないほど大きな村。 「!」 ミナが目を見開く。 「聖地の奥にこんな村が・・」 「と、とても広いですね」 ルーデルも驚いていた。 その隣で。 「Zzzz」 サンは寝ていた。 「...きたわね」 リッカの声が少しだけ固くなる。 村の入口。 そこには一人の青年が立っていた。 「戻ってきたか、リッカ!」 日に焼けた肌。 鋭い目つき。 明らかに村の戦士だった。 「様子はどう?アル」 リッカが真っ先に尋ねる。 アルは顔を曇らせた。 「何も変わんねえ」 その一言だけで十分だった。 「みんな四六時中うつむいてばっかだ」 村の空気が重い理由。 それだけで伝わる。 アルはルーデルたちへ視線を向けた。 「そいつらは?」 「村長が予言した救世主」 リッカは答える。 だが少しだけ言葉を区切った。 「....その仲間たちよ」 「ど、どうも...」 ルーデルが頭を下げる。 しかし。 「あぁ!?」 アルが叫んだ。 「銀髪がどこにもいねえじゃねえか!」 正論だった。 救世主。 そのはずの銀髪の少年がいない。 「言ったでしょ」 リッカが眉を吊り上げる。 「その仲間たちよ」 「そいつを連れてこねえと意味ねえだろうが!!」 「うるっさいわね!」 リッカも負けじと怒鳴り返した。 「時間がなかったのよ!」 二人の声がぶつかる。 ルーデルたちは完全に置いてけぼりだった。 その様子を。 「......」 グルンガだけが黙って眺めている。 やがてアルは大きくため息を吐いた。 「はぁ...」 肩が落ちる。 「この村もおしまいか」 その言葉には諦めが滲んでいた。 リッカの表情も曇る。 アルは踵を返した。 「とにかくついてこい」 歩き出す。 「時間がねえ」 リッカは不機嫌そうに鼻を鳴らした。 「ふん!」 だがその足は迷わずアルの後を追う。 村の中心部へ。 全ての始まりが待つ場所へ向かって。 ーーーーーーーーーーーーー
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