エターナルゾーン日記板
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遠いどこかの世界。 誰も知らない。 小さな物語。 エバンの地へやって来たウォーリア。心の優しい彼はたくさんの先輩冒険者に手伝ってもらいすぐに強くなった。気の良い彼を欲しがるギルドもたくさんあったし、フレンドもたくさん出来た。 でも優しい彼が本当に求めていたものは、押し付けられる強さなんかじゃなくて楽しく遊べる仲間だった。そんな彼はやがて、1人の女性のギルドマスターと出会った。 会う人会う人みんな。彼の装備やレベルを手伝おうとするなか、彼女はこう言った。 「少しずつでいいんだよ」 「一緒に強くなろうね」 たくさんの先輩冒険者が彼の手を引っぱるなか、彼女は、彼女だけは一緒に歩いていけると感じた。そう思った。そして彼は彼女のギルドに入った。 小さいギルドだったけれど、彼女はたくさんの人に信頼されるマスターで、彼は、彼女のギルドメンバーというだけで色々な人と遊んでもらえた。決してログインの多いマスターじゃなかったけれど、一緒にいる時間は本当に楽しかった。 でも…… そんな時間も長く続かなかった。 ある日、彼らはギルド闘技場へ行った。作ってまだ日が浅いギルドはレベルの低い人も多くて苦戦を強いられた。レベルもそうだし。立ち回りも分からない人も多くて何度もメンバーたちがバインドポイントした。 そんな中で 「マスター下手すぎ」 「しっかり指示だせ」 「ちゃんとやれ」 外野から罵声が飛んだ。 ギルドチャットだから外野には分からないでしょう。でも彼は知ってる。マスターはメンバーがバインドポイントするたび謝りながら戦っている事。誰より一生懸命頑張っている事。まだ経験の浅い現状を誰より感じていること。 その時の彼はまだ慣れていなくて、外野に噛みつけるほどキャラクターも気持ちも強くなくて、マスターが悪く言われるのをただ見てるだけだった。その時の彼に出来ることは、気にしないで下さいと声をかける事だけだった……。 そして…… その日から彼女を見ることはなくなった。 彼女はマスターをやるには優し過ぎた。 ギルドは解散した。 ギルドに所属していません。 その文字を見るたびに胸が痛んだ。 あのとき。 どうして僕は 助けてあげられなかったんだろう。 気にしないで下さいなんて、フォローしたつもりになっていた。言われるがままのマスターを見てるだけだった。そんな自分を責めた。そして思った。 「僕がもっと強かったら……」 誰も何も言えないくらい上手かったら 強かったら…… それから彼は強くなった。 少しづつ。強くなり続けた。 気付けば彼はエバンの冒険者の中でトップレベルの火力を手にしていた。最強に近い彼の名前はエバンに轟くところとなった。けれど彼はそんな名声が欲しくて強くなったわけじゃなかった。 彼を強くさせたものは今も胸にある後悔。 そして 「一緒に強くなろうね」 そんな昔の約束だった。 新しいギルド。新しいフレンド。今の現状が嫌なわけでもないし、楽しくないわけでもない。色んな人に頼られるのも悪くなかった。それでも、それでも彼は心の中で果たされない約束をずっと追いかけてた。 分かってる。 どれだけ追いかけても たどり着けるわけない。 だってこれは約束の半分だから。 残りの半分は彼女が持っているから。 持って行ってしまったから。 やがて彼はエバン最強の称号に手をかけた。その先がない事なんて分かってた。これ以上追いかけるものがないと気付いたとき、彼と彼女を繋ぐものはなくなった。 その時、彼は知った。 本当に自分が追いかけていたものは、何も出来なかったあの日の自分じゃなくて、強くなろうとした約束でもなくて。彼女と一緒にいた楽しかった時間。。 ただ…… それだけだった。 そんな彼はもういなくなったマスターの親友に会いに行った。どうしてもマスターに伝えたい事があった。 「親友さん」 「もしマスターに会えたら」 「伝えて下さい」 「もしあなたがマスターじゃなくても」 「ただのフレンドでもいいから」 「一緒にいたらダメですか?」 これは欠けた月の半分を探すような 2人の小さな物語。 この物語はフィクションです。
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