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海が見たい、と思った。 どうしてそんな思考が唐突に僕を襲ったのか、は、自分でもよくわからない。 夏にはまだはやい。毎日続くフキゲンな曇り空の下、汚れた都会の海は灰色に濁っているんだろう。その腹に、ドロドロのヘドロやらゴミみたいな小動物やらを孕んで。 「…ん、はァ…ぁあ、やぁ…ッ!」 背後からの突き上げが襲い、僕は首を反らせた。何回出されたか忘れたけど、ナカに放たれた欲が潤滑剤になってぐちゃぐちゃ泡立ってるのがわかる。 相手の揺すぶりのインターバルが狭まって来たこと、ゼェゼェと荒い呼吸とから、あぁそろそろなんだ、と察した。 だったら最後のサービスを。艶っぽい喘ぎ声と“無意識の”締め付け。うぅ、と掠れた低音ボイスが耳に届くのと一瞬タイムラグがあってから、生温かい体液が注ぎ込まれる。 僕はベッドに沈み込んで、事後の気怠さを背中で物語ってあげる。お客様をお見送りする元気もないくらい、今回は激しすぎたんです。ね? 案の定、地味な顔付きのオジサンは僕の頭を優しく撫でてから、一人で出てってくれた。予想通り。 汗だくなカラダを引きずってシャワーを浴びた。次の予約はいつだっけ?あぁ、40分後だ。今日はどうしてこんなに忙しいんだろ。 次のお客様は、僕を天使だと言ったヒト。清らかな天使を辱めるってシチュエーションに興奮してるんだろうと思う。 バカみたい。天使がこんな汚い場所にいるわけないじゃん。僕はもう汚れちゃってるんだよってそろそろ教えてあげなきゃ。 「…は、ァん…ッ」 どろり、と後孔から漏れ出したミルクを、入り口まわりの筋肉を総動員して留めておく。 他の野郎に抱かれた形跡なんて見たら、あのヒトどんな顔するだろ? とにかく今は苛めて欲しい。無茶苦茶に。多少なら契約範囲超えちゃってもいいや、って。 部屋に戻ったらシーツくらい代えておこうかな。はじめから気づかれちゃ面白くない。あ、自慰に耽ってるところを目撃されるってのどうかな?怒るかな? 想像の中のお客様は、僕を殴りつけて、罵倒する。こんなに汚らしいヤツだとは思わなかった、って。 それから、酷く激しく僕を犯すんだ。受け手を省みない乱暴な行為。でも僕は感じてしまう、から。 「はァ…っこの…淫乱め」 もっと言って。もっと虐めて。 僕の感情も感覚も麻痺してしまってるから、ちょっとやそっとの刺激じゃ感じないんだ。 ぬるくなった浴槽に顔を沈めた。目を開けると波紋が横切る。海の中みたいだ、魚はいないけど。 このまま風呂の栓を抜いたら、下水に吸い込まれて川を流れて…それから海に行けるかな? 肺が締め付けられる。きらきらした原色が頭を埋め尽くして、意識がどこかに飛んでいきそう。 このまま…このまま、水に溶けてしまえたらいいのに。 まっさおになって、空と海が溶け合ってるところを見たいな。って思った。
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