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俺は、この人の影響でタバコを吸い始めた。 小さい頃からこの人を見て憧れ、尊敬して、少しでも近付きたくて真似して吸ったんだ。 これは恋じゃない。 多分。 憧れが強過ぎて……。 雛の刷り込みの様に俺はこの人を追い掛けた。 中学二年の夏。 俺は初めて抱かれた。 『男』に。 俺から抱いてくれって頼んだんだ。 最初は全く取り合ってもくれなかった。 でも諦め切れなかった俺は何度も頼んだ。 別に恋人にして欲しいなんて思って無かったし、ただ……自分のこの人に対しての感情が恋なのか憧れなのか分からなくて、確かめたくて…必死に食らい付いた。 鼻にタバコの匂いが掠める。 この人が昔から好んで吸ってるタバコの匂いが。 そしていつも俺が吸ってるタバコの匂い。 「ねぇ、三千緒(ミチオ)さん……俺にも一本」 「ガキがこんな重いの吸ってんな」 そう言いながらも俺にタバコを差し出す。 一本抜き取り、口に咥える。 三千緒さんは顔を近付け自分の咥えてるタバコの先を押し付け火を付けた。 深く吸い込むとタバコの先が赤く燃える。 煙りをゆっくり上に吐き出し、ユラユラ昇る煙りをジッと見つめていると、三千緒さんは俺の頭を撫でた。 「ねぇ…三千緒さん…」 「ん?」 お互い裸でベッドに座りながら視線を合わせずタバコの煙りをジッと見つめる。 「俺…好きなヤツ出来たかも」 チラッと三千緒さんを伺うといつもと変わらない表情。 その表情を見ても俺は何とも思わなかった。 「良いじゃん。良かったな」 フィルターを噛みながらクククっと喉を鳴らして笑う。 「うん。すっげぇ綺麗なヤツ。大人しそうなクセに気がつぇーの」 そいつを思い浮かべて俺はフィルターを噛みながらクスクス笑った。 「お前…俺から卒業しろ。自分でも分かってんだろ?俺達の間に恋愛感情なんかねぇ」 知ってる。 そんなの最初から。 三千緒さんは俺を見てニヤリと笑った。 だから俺も笑い返す。 「太助(タスケ)。お前は………幸せになれよ」 三千緒さんを見ると、口角を上げフッと笑っていた。 「なるよ。絶対」 そんな俺を見てまたフィルターを噛みながら三千緒さんは笑う。 タバコの煙りはユラユラと上へ昇る。 だから俺は上を向いた。 煙りが目に染みただけ。 だから俺は上を向いたんだ。 これは恋じゃない。 end
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