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悠莉は、病気だ。 癌とかそういう方の病気ではなく、所謂依存の方での病気だ。 今日も、行きつけの小さな文房具店で、その病気が悠莉の体を蝕んでゆく。 よし、誰もいない…。 厳重に自分の周りを確認してから、手に取っていた消ゴムを素早くポケットに放り込こんだ。 そして、そのまま素知らぬ顔で店を出る。 そう、これが悠莉の長年の病気。それは、最近若者に増えているという、万引き依存症だ。 別に物欲しい訳じゃない。金だってちゃんとある。だが、万引きをすると無性に楽しいのだ。 バレていないかというあの背筋を巡る不安感、店を出るときのドキドキ感、そして終えたあとの、達成感から罪悪感まで、全てが全て刺激的で、興奮する。 今日も誰も追いかけてこない。当たり前だ。防犯対策を何一つしてない店。そして仕切っているのが老夫婦と来れば、成功は確実だ。それに、悠莉は学校でも家でもイイコちゃんの振りをして生きている。無論、服装や見た目からじゃとてもこんなことをするような人間には見えないだろう。 人気の無い場所まで来ると、悠莉は盗んだ消ゴムを眺めた。そうして、つくずく大人の愚かさを嘲う。 人間なんて、所詮は見た目なのだ。 バカな大人に、僕の本性がわかるわけない。 優越感に口端を歪めながら、悠莉は消ゴムをゴミ箱に放り込んだ。 そう、大人はバカだ。能無しで、下劣で卑劣極まりない生き物だ。 見てくれがよければなんだって信用するし、信頼も熱くなり、待遇も並み以上になる。いくら、中身がドロドロとしていても、だ。 だが、本当はこんなことに意味はない。自分をダメにして行くだけ。わかってる、本当は悠莉はそんなことわかっていた。だが、軽い人間不信にある悠莉には、それで自分を慰めることしか思い付かなかった。 慰める、というのは自分自身をだ。 本当は悠莉はいまの偽りの塊でしかない自分に嫌気がさしていた。本当の自分がわからなくなり始めてきたのだ。 このまま偽り、楽しくもないのに笑って、外面を気にして、そんな人生たかがしれていた。だから、悠莉は逃げるのだ。万引きに。 万引きは犯罪だ。悠莉は自分を犯罪者にすることに確かな救いを感じていた。 イイコを演じていない自分は、新鮮で、楽で。捕まったら捕まったで、いままで騙され続けていた奴等の驚く顔がみれる。皆、どんな顔をするのだろうか? 優秀で優しくて真面目な自分が、犯罪を犯した、なんて知れたら。 それもまた、楽しそうだ。 そんなことを考えていたら、突然肩を叩かれた。振り返れば、悠莉よりも少し年上、高校生くらいの金髪にボディピアス、そして派手に着崩した制服。明らかな不良染みた青年が立っていた。 「ひっ」 思わず驚いて、悠莉はその場で腰を抜かした。 ヘロヘロとその場に尻餅をつけば、青年がクックッと楽しそうに笑った。 「へえ、案外ビビりだな。犯罪者には、とても見えない」 「っ……!?」 青年の言葉に、悠莉の体が戦慄する。 万引きする現場を、見られていた。その現実が青年の言葉からわかった。 捕まるのもいいかもしれない。 先程までそう思っていたのに、いざその立場に立ってみるととてもじゃないがそうは思えなくなった。 何とかして、逃げなければ大変なことになる。 「ひ、人違いですから…っ」 「と、待てよ」 「ゃ……っ」 誤魔化して逃げようとしたが、腕を捕まれて青年の胸のなかに納められる。 ガッチリとした腕に体を拘束されると、悠莉は指一本動かせぬ状態に陥る。 恐怖に唇を戦慄かせれば、青年の大きな手に顎を捉えられ、耳元に囁かれる。 「んな怖がるなよ。俺と遊んでくれたら、悪いようにはしねえから、さ」 「……あ、そぶ?」 「そう。賢いみたいだし、名誉が大事なら嫌、とは言えねえよな、優等生君?」 「……は、ぃ…っ」 返事をしたそのあとで、悠莉は生まれて初めての、失敗と自分の愚かさを、知らしめられた。 ─────── ────────── 青年は貴文と名乗った。 貴文の家は悠莉の万引きを行う文房具店から近いところにあった。 中に無理矢理に引き込まれればわりと片付いており、否、必要最低限の物以外は何もなく、生活感の感じられない家だった。 両親が共働きらしく、自宅内は悠莉と、貴文との二人きりだった。殺伐とした空気に息苦しくなる。 「そんな固まんなよ。遊んでくれたらいいからさ」 「っ……?」 言われるなりいきなり後ろから抱き締められて、悠莉の体が強張る。 恐怖に震える脚を、貴文の手が這い回って、ぶわっと嫌悪感に身の毛がよだった。 振り払おうと身を捩れば、顎を捉えられ、ぐいっと横に引かれ、首筋を晒すような形になった。 晒された悠莉の白い首筋を貴文の唇が食む。 「ゃっ…あ!?」 突然の感覚に、思わず声が裏返った。 そのままキツく吸われれば、ぞくんとした快楽に脚が崩れてしまった。 尻餅をついた悠莉を、貴文が躊躇いなく床に押し倒す。 突然の行為にではあったが、悠莉は何か得体の知れない恐怖にただ抵抗した。 「やだ、やめろ…っ」 「やめねえよ、遊んでくれっつったろ?」 「や、だ、こんなことしたいわけじゃ…っ」 「こんなことって、こんなことか?」 「ひ、ゃっん!?」 意地悪く貴文が笑ったかと思ったら、言われるや否や、いきなり胸の突起に吸い付かれ、初めての快楽に悠莉は戸惑う。 突き放そうと突っぱねた腕は、ただ添えるだけの物でしかない。 嫌だと懸命に頭を振りたぐると、貴文によって前髪を鷲掴みにされた。 焼けるような激痛に、目頭が熱くなる。 「い、つ…っ」 「お前、自分の立場わかってんのか?俺に命令できる立場じゃねえんだよ。親切に犯罪見逃してやったんだから、せいぜい可愛く啼くくらいしろよ」 「う…く、や、だ…っ、触るな、ヘンタイ…ッ」 「へえ?可愛い顔して強情っぱりだな?まあ、それのが俺はタイプだけどな」 「っ、な、なに…っ!?」 貴文が不適に口許を歪めたかと思えば、いきなりに頭の上で両腕を拘束される。 力を入れても、布が皮膚に食い込んで痛いだけで、ほどける気配はなかった。 絶望感と、これから何をされるかわからない恐怖感に、悠莉が戦慄けば貴文は楽しそうに笑った。そして、おもむろにポケットから何かを取り出す。 ピンク色の容器に入れられたそれは、まるでハンドクリームのようだった。 貴文は、謎のクリームを指にたっぷりと掬い取ると、悠莉の晒された胸にそれを塗り込んでゆく。 「ん…は、ぁっ…!ゃ、なに…っ?」 初めはくすぐったいだけだったそこ。しかし、塗り込まれていく度に突起が熱くなっていくのがわかった。それどころが、少し触れられる度に、背筋が粟立ち、下半身にまで熱が籠っていく。 「ふ、ぁあん…っ」 「何?感じて来ちゃった?」 「あ、は、ちが…」 「違うくせに、お前のここからはやらしい液体が出るんだ?」 「ぁ、あぁあっ!?」 言われ、ただ湿った割れ目を指先でなぞられただけなのに、悠莉の体には電撃が走り抜けた。 そこを触ったのは初めてではない。だがいままではこんな感覚は起きなかった。悠莉の体で、何かが起きていた。 ヒクヒクと内腿を震わせる悠莉を、貴文が笑う。 「敏感。先っちょ、ヒクヒクしてんのが伝わってくるぜ?」 「ぁん!ひゃ、ぁっ、あぁ、だ、だめ、さわんな…っ」 恥ずかしくて、悔しくて唇を噛むのに、クチクチと爪の先で刺激されれば、たまらなかった。 自分のものとは思いたくもない甘く淫らな喘ぎがひっきりなしに悠莉の唇から突いて出た。 「ふ、ぅ…う、なん…で…っ、いつもは…っ」 「ふ、こんなに感じねえってか?当たり前だ、薬、塗ってやったからなあ?」 「……っ!?」 貴文の言葉に、悠莉は目を見張った。確かに冷静に考えれば、貴文に何かクリーム状のものを胸に塗られてから体がいきなり熱くなった。あれが、催淫剤だったならば、全てのつじつまがあった。 「な、んで…!」 「そう怒んなよ。気持ち良くなれんだから、悪くねえだろ?」 「ん、あ、ぁっ!」 きゅっ、と先端を押し潰され、体がしなる。 恐ろしいほどの快楽に飲み込まれていくのがわかった。そしてそれと同時に、媚薬に体が昂っていき、身体中が性感帯になってしまったように敏感になっていくのもまた、わかった。 「ふ、ぁ、あぁんっ」 臍から首にかけてをツーッと舐め上げられ、腰が跳ねる。 下腹部は吐精感に燃えるのに、貴文は焦らしているのか、直接的な快楽をぶつけてきてはくれない。 とっくに限界を越えて、ヒクヒクと尿道を開閉するそれは赤黒く色付き、酷くグロテスクだ。 イキたくて、イキたくて、その事で頭がぐちゃぐちゃになって貴文の背に爪を立てた。 「イキてえの?」 「う、ぁ、っん、う、いきた…ぃ…っ」 懸命にコクコクと頷けば、貴文はニヤリと笑った。 「なら、上手に俺に奉仕できたら、イカせてやるよ」 「ふ、ぅ…は、ぃ…っ」 貴文の意地悪な条件にもやむを得ず、悠莉はコクコクと頷くと、四つん這いになって貴文のズボンを寛げ、完全に成長しきって、赤黒く、ドクドクと鼓動を打つそれを、小さな口に納めた。 雄臭い臭いに、まるで生き物のように脈打つそれ。そして嫌悪感。吐き気がした。だが、限界まで焦らされた体は、イクことで頭が一杯で、悠莉はまるで媚びるように腰をくねらせながらも懸命に舌を使った。 「ん、ぅうっ、ん…ん」 「ほら、もっと頑張れよ。いつまで経ってもそれじゃイケねえぜ?」 悠莉の敏感になった太股に手を這わせながら、貴文は煽った。 焦れったい快楽に内腿を震わせながらも、悠莉は舌を動かす。 だが正直、祐貴のフェラは下手くそだった。 歯は当たるし、中途半端に舌を動かし、何よりも先端だけを舐めるなど芸がない。 貴文はだんだんと中途半端な快楽に飽き始め、苦しそうに蜜を垂らしながら震える悠莉のそれを、イタズラになぞった。 「ふ…、ひ、ぁん!?」 たったこれだけの行為なのに、悠莉は体をバウンドさせた。強烈な快楽を与えたら、どうなってしまうのだろう。 ふとした好奇心に、貴文はほくそ笑んだ。 フェラを中断し、快楽に震える悠莉を押し倒し、快楽に震えているそこをくわえこんだ。 「ゃ、ぁああっ!ぁ、ひ、ぁあんっ!」 小さく、純白なそこを堪能する。 ヒクヒクと震える竿をなめあげ、精菅の通う裏筋をねちっこく舐める。そしてパクパクと開閉する小さな尿道口に、舌を捩じ込んで弄る。 「ぁ、ああ、ぁ、らめ、で、で、ちゃ…っ、ひ、ぁあああっ!」 頭が、スパークする。押し退けるよりも早く、溜めに溜めた快楽の蜜が爆発した。貴文の、咥内で。 だが、羞恥よりも早く、悠莉は慣れない快楽に意識を失った。 絶頂の余韻にひくひくと震えている悠莉を、貴文は咥内の愛液を飲み下しながら、にんまりと笑った。 「解放なんて、するわけねえじゃん、こんないいの…」 呟きと共に、高ぶった自身を扱きあげ、悠莉の顔面にかけてやった。そうして、その光景を携帯に納めた。携帯のシャッター音が、虚しく部屋に鳴り響いた…。 ─end─
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