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普通さぁ、旅行って言ったら…観光とかするよな? 色んな所に行ったり、色んなモノ見たり、色んなモノ食ったりするんじゃねぇの? えっ?俺、何か間違ってる? いつもと違うシチュエーションでヤるだけの為だけに旅行に来るって違うよな! 誰が違うと言ってくれぇ! 「旅行行くぞ」 今までの話をぶった切って、上記の言葉である。 そして俺の言葉を聞く事無く、次の日の朝には地元を離れていた。 何その行動力…。 「ごゆっくりどうぞ」 丁寧に頭を下げて部屋を後にする仲居さんを釣られる様に頭を下げて見送る。 「………………すげぇ…」 部屋をぐるりと一回りして思わず零れ落ちた感嘆の言葉。 案内されたのは、離れになっている部屋。 しかも自部屋に露天風呂付きとか…。 窓の外を見れば、悠然な自然が広がっていて眺めも良い。 半ば無理矢理連れて来られて不機嫌だったのが一気に吹っ飛んでテンション上がりっぱ。 「雅幸、見て見て!」 窓の外を指差しながら後ろに居る雅幸を振り返って満面の笑みを向ける。 「おー、どれどれ?」 そんな言葉と共に俺を後ろから抱き締め、意図的に耳へ唇を掠めさせた。 不意打ちな刺激に跳ねる肩。 言葉詰まらせて触れられた耳を掌で隠して睨み付ける。 勿論顔は真っ赤。 そんな俺を見て、肩を震わせて笑う相手。 多分想像通りの反応だったらしい。 「なぁ、浅葱。仲居はインターホンでこっちから連絡しない限り来ない。しかも離れだから他の客にも会わない。俺達は二人きり、だ」 言葉を理解する前に、俺を抱き締めるヤツの手が不穏な動きを見せる。 「…えっ?ちょ…っ、ヤ ダ…ぁっ」 「一緒に露天風呂、入ろう、な?」 すぐ後ろを見る。 そこには、物凄い何か企んでます!みたいな雅幸の顔。 あ、もしかして…これが目的だったのか…。 今更気付いてももう遅い。 二泊三日。 離れから一歩も出る事無く、雅幸との初旅行は終わった。 えっ?旅行って…こんなんだったっけ…? ヤってる事、いつもと変わらねぇし! -end-
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