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「ねえ、知ってる?」 開口一番に出てくる台詞がそれかよ! 久しぶりにあった同級生は、相変わらず変だった。 「まめしばのCM…?」 俺は元ネタを探る事に精いっぱいで、なんでいきなり手を捕まれたとかなんでそんなに目をかっぴらいているのかとか。 だいぶ色々な事をききのがしてしまった。 「みっちょんは知らないだろうけど、」 「無視か!」 しかもここは駅前の人通りが多い道のど真ん中だ。 男二人が手を取りながら向かい合っているのには、かなりまずいだろう。 「野瀬、取りあえずマックにでも入ろう…か?」 ぎゆっ。 さらに強く握られた手に、一瞬言葉に詰まる。 冷たい。 「…把握した、行くぞ」 「え、ちょ…まっ!」 「何故待つんだ、みっちょんから言い出したんだろう」 ついさきほどの事も忘れたのか、ずるずると引っ張られるような体勢のまま話を続ける。 「せめて手ェ離せ!」 「拒否する」 やはりこいつは変わってないな。 野瀬は大学時代の同級生だ。 ふつーにサラリーマンになったみっちょんこと俺、三田幹彦とはいわゆる腐れ縁であった…と思う。 「くそ…!」 憎らしいとも思うが、らしいなとも思う。 その証拠に俺は今笑顔だった。 自動ドアを抜けると、ほんわりとした優しい空気が身を包んだ。 「みっちょんが言い出したんだから、ここは驕りだよな。ありがとう!」 その笑顔は女子につかえ、女子に! いつもの無表情を知る身としては胡散臭い以外の何物でも無いが、何しろ元がいいからな野瀬は。一見さんならコロッと落ちるだろ。 「…みっちょんは何食べるんだ?」 野瀬の笑顔について考えを広げているうちに注文は終わったようだ。 「あ、えーと…」 昼飯がまだだった事を思い出した途端に腹が空いてきて、セットでも良いかななんて思いつつ一歩前に出る。 じゃあ席とっとくからと野瀬は二階へ姿を消した。 「じゃあバリューの…」 席とっとくからとか言って、俺に運ばせる気だろあいつは…! やれやれと首に手をやったところで、あれほど執拗に握られていた手があっさりとはなされていた事に気づく。 まあ、せいせいした…のか? 男同士でいつまでも手を繋いでいるのは、やはり野瀬でも恥ずかしかったのだろうか。 気のせいかわずかながらにいつもより暖かく感じるその手が、なんだか微笑ましかった。 「今ドリンクとポテトをどちらもLにするとグラスがついて来るんですが、いかがなさいますか?」 「グラス?」 店員さんにこれですと差し出されたグラスにときめいてしまった俺は、店の思惑通りにサイズをLに変えた。 「野瀬ー!」 二階の一番奥で妙に背筋をしゃきっとさせて座っている男の元へ、俺はまっすぐに駆け寄った。 「おお、すごい量だな」 「ほんとにね!」 トレイから溢れんばかりのポテトは、野瀬すら普通に感嘆するほどのポテトだった。 「野瀬もLにしてんなら言えよ!」 「聞いてなかったのか、あんだけ近くに居たくせに」 いただきます位いったらどうだ。 野瀬の手にはすでにベーコンレタスバーガーが握られている。 「お前の言葉がすべて聞こえていると思ったら大間違いだかんな」 俺はやけぎみにポテトを頬張った。 野瀬もいるから大丈夫だろ、なんて気軽にポテトをLにしたのが間違いだった。何事も適量だよね。 「ポテトはさ、おまけ程度が良いんだよ…」 「何故Lにした」 「グラスが、かわいかったからああ…!」 もう一掴みポテトを頬張りながら、トレーに載せられた2つの箱を横目で見た。 「2つ?」 「ああ」 野瀬は一本一本ポテトを口に運びつつ頷く。 「どうせ知らなかったろ、みっちょん?」 「は」 (ねえ、知ってる?) 「今Lにするとグラス貰えるんだって」 「久しぶりに会ってすぐにそれをいうの絶対におかしいだろ!」
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