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<font size="2"> 目を覚ましたときに、初めに感じたのは大きな違和感だった。 理由は、目の前に広がる景色にあった。 俺の部屋にはないはずの真っ白い壁に、それに合わせた綺麗な黒のカーテン。手を伸ばして触れてみれば柔らかく、質がいいのがわかった。無論、俺の家にこんな洒落たものはない。 俺はカーテンを手放すと、混雑している記憶を手繰り寄せる。まるでパズルのように曖昧なそれを一つづつ組み合わせていけば、体中に鳥肌が立ち込めた。 思い出してしまったのだ、昨日起きた悪夢を。 昨日、俺は同じ大学に通う津田を、家に招いた。招き入れてしまった。数ヵ月前から俺を苦しめていたストーカーだと気づかずに。 「俺が世界で一番、優を愛しているんだよ…」 そう言い切った津田の瞳は狂気に満ちていた。初めて津田を怖いと思った瞬間だった。 そして俺は同じ男に体を弄ばれて、恐怖と倦怠感に気を失ってしまったのだ。 頭が覚醒した今、気を失った俺を津田が自宅に拉致したと言うことは容易に想像がついた。 ベッドから体を起こし、辺りを見回してみたが津田の姿はなかった。大学に行っているのであろう。そしてそれは同時に、ここから逃げる唯一のチャンスでもあった。 俺は、勢いよく飛び起きる。飛び起きたつもりだった。しかし、そこで首がずしりと重くなり、前のめりになって再びベッドに戻る格好になった。 耳に届く、鉄が擦り合う、じゃらじゃらと言う気障な音。 まさか、そう思って自分の首に触れて、俺は驚愕した。 首輪が、はめられていたのだ。しかも、鎖に繋がれている。掛け布団をどかしてみれば、左足首にも首と同じように輪が通されていた。 不気味に光る鎖を目で追えば、ベッドの脚にくくりつけられ、鍵まで掛けられていた。 完全に拘束されている状態だ。 「ッ…、マジかよ…ッ」 重い体を引きずってベッドから降りると、俺はなんとか首輪を外そうと喉をかきむしった。だが、首輪は外れるどころかいっそう俺の首を締め付ける。これ以上もがいたら本当に窒息しそうで、俺は諦めるしかなかった。 体を無理に引きずっても、ベッドがほんの少し動いただけで意味がない。 窓から助けを呼ぼうにも、窓までは距離が開きすぎている。 念入りに計算をしたうえで、津田は出掛けていったらしい。俺が、逃げられないように。 そう理解し、悔しさと憎らしさに唇を噛み締める。と、その時背後のドアが開いた。 「何してるんだ、優」 「ッ…」 背後からふわりと抱かれ、耳元に囁かれた。一見優しそうなそれは、包容と言うよりは捕獲に等しいものだった。 恐怖にひくりと肩を震わせると、津田の冷たい手が俺の顎をとらえる。 そのまま強引に横を向かせられると、津田と目が合った。 口許は優しく弧を描いて微笑んでいるのに、その瞳は氷のように冷えきっている。 「何してるの?そんなに寂しかったのか?それとも、逃げようとしてた?」 「ち、ちが…ッ、ん、ぅっ?!」 否定するよりも先に、唇を塞がれてしまう。 蛇のようにうねる津田の舌が、俺の唇を這い回り、首筋をつたっていく。 くすぐったさのなかに混じる大きすぎる嫌悪感に、無意識の内に唇を噛み締めてしまう。 俺の男にしては長めの爪が、津田の服をすがるように引っ掻いた。 「優、可愛い…」 「ゃ…ッ、やだ…、津田…っ」 「逃がさねえよ」 「ッ……?!」 ツートーンくらい下がった津田の低い声が、俺の動きを意図も容易く止めてしまう。 恐る恐る視線を津田に向ければ、そこには津田の作り笑いすらも存在していなかった。 恐怖に体が支配される。 津田は、唇を震わせる俺ににこりと小さく微笑むと、その優しい微笑みからは想像できないほどの荒々しさで、俺の首輪に指を通して、自分の方へと引き寄せた。 そのままがくんがくんと、まるで立てと要求されるように荒々しく揺さぶられれば、俺は津田の動きに合わせて立ち上がるしかない。 ふらつきながらも立ち上がれば、壁に叩きつけられ、口内に無理矢理二本ほど指を押し込まれる。 「ん…っ、く…」 「俺には嘘をつくな。お前のことは全部さらけ出せ。全部だ。お前の時間も感情も思いも何もかもを、俺にさらけ出せ。逃げようとしたんだろ?ここから。逃がさない、逃がすわけがない」 「ん…っぅ、ぃ?!」 ガリッ、と耳朶に噛みつかれ、ぎりぎりと締め付けられる。 痛みに瞳をぎゅっと瞑る。 怖い。このまま噛みきられそうで、怖かった。 膝をカタカタと震わせる俺を、津田が嘲るように笑った。 「怖いか、俺が?」 「ふ……、ぅ」 小さく頷けば、津田がまた笑った。 咥内に押し込まれた指が引き抜かれ、荒々しく唇を貪られた。 津田の不気味にうねる舌が、怯えて小さくなっている俺の舌を強引に絡めとり、翻弄する。 苦しくて、気持ちが悪くて頭を振ると、ようやく解放された。 だが、それもつかぬ間の自由だ。 鎖を引かれ、ベッドに叩きつけられる。そしてそのまま、津田に馬乗りにされ、ワイシャツを強引に割り開かれた。 肌に冷たい外気が触れて、誤魔化しようのないこの現実に身の毛がよだった。 「やだ、なにす…ッ?!」 下腹部、俺の中心部分が津田の指に絡めとられた。 そのままやわらかく愛撫を施されると、嫌悪感とその中に混じる快楽に、唇を噛み締めた。 やめろと津田を押し返そうとしたが、圧倒的に津田の方が力が強かった。 捩じ伏せられ、快楽に素直な体だけが堕ちていく。 「ひ……ゃ…っ、は、ぁんっ」 「体は素直だよな、優。お前のここは、俺の指が大好きみたいだぜ?」 「ちが…っ、ゃん!」 否定よりも先に、敏感な先端を押し潰され、腰が浮いた。 行為に慣れているのか、それとも男同士だからこそわかる性感帯を知り尽くしているのか、津田は手淫が上手い。 あっという間に俺は、追い詰められていた。 「ゃ、つ…だ、津田、ぁ…ッ」 「可愛い、優。イキたい?なあ、俺と手でイキたい?感じてる?俺の手だから、こんなに感じてるんだよな、答えろよ、優」 虚ろな瞳でそういう津田は心底不気味だった。 だが、追い詰められている今俺を楽にしてくれるのは、津田しかいない。限界に近づいている体は全てが浅ましい。 津田にすがる手は、小刻みに震えている。誘うように揺れる腰は、どうすることも出来なかった。 疼く下半身が、悪魔が誘う。甘えてしまえ、堕ちてしまえと。貪って、しまえと。 「つ、だだけ、だからぁ…」 「優、ユウユウユウユウユウユウ!ユウだけ、ユウだけだよ?俺もユウだけを愛してるからね、ずっと、ずっと一緒だよ?だって両想いじゃん、別れる必要もない。ユウ、可愛い俺だけのユウ…離さない」 欲望が弾けた音がした。がらがら、と理性が崩れる音ともに、もう津田から逃れることはできないのだと理解した。 快楽にどろどろになった体も思考も、全てが津田のものなのだ。 自分はもう、津田の檻からは二度と出られない。 身体中を戒めている鎖が、じゃらりと鳴った。 逃がさないと言うように。 この鎖はただの鎖じゃない。もはや、それは────。 end
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