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イルカが好き、なんて。直人は古くさいことを言う男だった。 引っ越しのために荷物を整理していた涼一は、机の引き出しから包装された箱を見つける。 「あ」 別れた恋人、直人からの贈り物のネックレスだった。気恥ずかしくてつけたことはないが。 胸がきゅっと締め付けられる。捨てようと思ったのに、無邪気なイルカの顔が愛くるしくてできなかった。 直人は結局、女性と付き合うことを選んだ。 「それが普通だろ」 男同士なんておかしい、癖になってしまっただけで、離れれば消える感情だと。 半年も経つのに忘れられないのは、本物の恋だったから。教えたくとも、もう連絡は取れない。妄執に捕われ、迷惑になりたくなくて、涼一は携帯を変えた。共通の友人とも距離を置いた。 男だからとか、女だからじゃない。ひたむきな直人が好きだった。 水族館に行き、お揃いのペンを買った。ネックレスは後からもらったものだ。 「涼一、イルカ好きだろ」 恋人に贈るのが夢だったと直人は笑う。古くさいと指摘すると、あれっと首を傾げた。 「ドラマで研究したんだけどな」 母の推しだったらしい。何を見たのかは未だに謎だ。 明日からまた新しい日々が始まる。直人のことも、時間が癒してくれるだろう。 もう少しだけいいかな。イルカを嫌いになれなくても。せめて次の恋をするまで。 共に見た水槽は、記憶の中できらきらと優しい光を放っている。イルカのネックレスと同じ、半透明の淡い色で。
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