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「あーお腹おっきい」 その台詞が喧騒とした食堂と言う名のレストランに響いた瞬間、一瞬にしてシンとまるで冷気に包まれたかのように静まり返った。 「……お前なぁ」 一緒に食べていた厳つい顔の美丈夫は呆れたようにため息ついた。 「ん?」 と首を傾げる様が可愛らしい彼は、対称的に優しげな顔立ちで雰囲気もふわふわしている。 「お前ら、こんなところでそんな話すんなよっ! て言うかなんだよ、セフレとかやめろよなっ! 寂しいんだったら俺が友達になってやるっ!」 脱兎の如く近づいてきて一気に言うのはまさにテンプレートな時期外れの転入生。ぞろぞろと信者達を引き連れて、いいこと言ったとばかりにご満悦な様子。 「んん? いや、俺らセフレじゃないけど?」 「志貴、黙っとけ、ややこしくなる」 「えー、でもなんか変に誤解されてるっぽくない?」 「お前ら、無視すんなよっ! そんなことしたらダメなんだぞっ! だいたいしきとか言うお前っ、男は妊娠しないんだぞっ! そんなことも知らないのか? ダメだな、俺が教えてやるよっ! それにお前っ、格好いいな、名前教えろよっ!」 「……てか、誰?」 「だから、志貴黙っとけ」 転入生くんは小さい子供のように地団駄踏み、無視すんなよとさらに叫んで志貴に殴りかかる。 パシッと小気味良い音を響かせて美丈夫がその拳を受け止め、腕を捻って固定し 「お前に教える名前はねえよ」 と信者達に向けて放り出した。 「結羽っ」 「何するんだよっ! 友達にそんなことしたらいけないんだぞっ! 謝れよっ! 謝ったら許してやるよっ!」 信者達の焦った声と転入生くんの声がかぶり、美丈夫は眉をひそめ、 「おい、お前らが何しようが勝手だが、こっちに迷惑かけんじゃねぇよ。 それから、こいつのお腹おっきいは、お腹一杯の方言だ。 変な想像してんじゃねぇよ」 「あっ、そっかそっか、ごめんねぇ、なんだか誤解させちゃったみたいで」 あははと呑気に笑う声が妙に響き、誰もがなんとなく詰めていた息を吐き出した。 「そうそう、転入生くん。 俺らセフレじゃなくて、相思相愛、ちゃんとお付き合いしてんの。 一応全校生徒公認カップルだからね、邪魔しないでね」 ニコッと笑うその笑顔が黒かったのは気のせいだと食堂にいた生徒達は遠くを見た。 「お前っ、このしきって奴に騙されてるだっ! 俺が」 「志貴、食い終わったんだったら行くぞ」 「人の話はちゃんと聞かなきゃだめなんだぞっ! それにまだ俺が話してる途中だろっ!」 「結羽……」 「ねぇ、信者くん達。 こんなもじけたのが好きなの?」 志貴の言葉にはてなマークを盛大に飛ばす信者達と生徒達。そんな中で美丈夫は爆笑し、今度は意味を言う気がないのかニヤリと志貴の手を引いて出ていった。 良いことを言われてないのはなんとなく気づいたのだろう転入生くんがさらになにやら叫んでいたが、二人はまるで無視。 「壊れた奴なぁ」 歩きながら呟きさらに笑いが込み上げてきたのか顔をくしゃくしゃにして笑う美丈夫に 「いつまで笑ってんの、龍琉」 と、志貴はじとりと睨んだ。
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