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ベッドに寝転がったまま、窓の外に目をやる。カーテンの開け放たれた大きな両開きの窓から、海が見える。分厚い雲に覆われた秋の空と同じ、淀んだ色をした海。夏の間は海水浴場になるその海岸も、今の季節は常に閑散としている。 「何見てんの?」 ごろん、と寝返りを打ちながら、彼はそう言った。肉の薄い骨張った身体。嫌味なくらいに長い手足と、透き通るような肌。同じ男として嫉妬してしまうくらいに、整った顔立ち。栗色で柔らかなその髪も、切れ長のその瞳も、全てがこの田舎町には、不釣合いなように思えた。いつだったか、一度だけ彼の名前を、インターネットで検索したことがある。著名な国際コンクールでの入賞経験と、国内主要コンクールでの優勝経験、そして過去に二枚ほど、メジャーレーベルからアルバムをリリースしたことがあるようだ。長く細い指先が、鍵盤をなぞるときのように、私の背中を叩く。 「何も、見ていませんよ」 「そう?」 彼はちいさく笑って、私の額に唇を寄せた。インターネットのプロフィールで見て、彼が私と然程違わない年齢だということは知っている。けれども、そんな風に無邪気に微笑む様を見ていると、時折、未だ二十代前半くらいなのではないかと錯覚してしまいそうになることがある。 「次の客、何時?」 彼の冷たい指が、私の頬に触れた。私はその指を己の唇に近づけながら、 「今日は、他に予約は入っていません」 と、答えた。 「――そう。大変だな、調律師も。子供が減っているって事は、ピアノを習う子供も減っているって事だろう? 商売上がったりだな」 丘の上に立つ、旧い洋館。昔は別荘地として栄えたようだが、今はどの家も随分と代替わりし、多くの屋敷が取り壊され、広大だった敷地も細々と分割され、同じような外観をした無個性な分譲住宅に変容している。この屋敷は僅かに残る昔ながらの瀟洒な洋館のひとつだ。広大な庭を持つこの家を、彼がどうやって維持しているのか私は知らない。 「辛うじて、今は未だ何とかなっていますよ。三、四十年前、丁度習い事がブームだった頃にお子さんのためにピアノを購入してくださった方々が、いつかは孫に、と、もう何年も弾いていないピアノを、大切に保管してくださっているのです。そういった方々は、年に一度の調律を決して欠かさない。もう二十年も誰も弾いていないピアノでも、大切に、大切にレースのカバーをかけてリビングに飾ってくださっているんです」 「――団塊の世代ってやつか」 「そうですね、それよりは少し上かもしれません」 「どうせ孫は塾通いが忙しくて、ピアノなんかに見向きもしないんだろ? おまけにこんなクソ田舎にゃ居着きもしない。ジジババのところに来るのは年に一度、お年玉をせびるときだけだ。普段は都内のマンションで暮らしているんじゃないのか?」 「そうかもしれませんね。それでも彼らがそのピアノを手放さないでいてくれる間は、私達は辛うじて食べていけます」 私の言葉に、彼は不快そうに形の良い唇を歪めた。 「世の中には、そんなピアノが何台くらいあるのかな」 「さあ、どうでしょう」 「買いたくても買えない人間だって沢山いるんだぞ。持っているのに弾かないなんて、馬鹿げてる。いっそまとめて回収して、途上国にでも輸出しちまえば良いんだ」 「そんなことをされたら、私達は廃業です」 私の言葉に、彼は何か言いたげな顔をした後、不意に手を伸ばし、私の頬に触れた。 「この後、何か予定があるのか?」 耳元で囁くような声でそう尋ねられ、私はちいさく口元だけで笑みを零した。 「先刻、今日は他の予約は入っていないとお答えした筈ですが?」 「――そういう意味じゃない。仕事が入っているかどうかじゃなくて、その後の話だ。――今夜は空いているのか、と聞いている」 少し不貞腐れたように唇を尖らせた彼の、その頬が微かに赤く染まる。 「特に、予定はありません」 私の返答を待った後、彼は冷たい手のひらを私の背中に廻した。 「未だ、足りませんか?」 「……ああ、足りない」 頬の赤みが、更に増してゆく。私はその赤みに沿わすように彼の頬に手のひらを当て、そっと己の唇を彼の唇に近づけた。 互いに、何も身に着けていない身体。先刻までの火照りを微かに残したその肌を、重ね合わせる。彼の指が、私の腕を辿る。鍵盤の上を辿るときと同じ、滑らかな指の動き。その動きに、私の体温が俄かに上昇してゆく。 「もう、こんなになってる」 片方の手で私の腕を撫でながら、彼はもう片方の手で、私の分身に触れた。 「こんな風に触れられたら、誰だってこうなりますよ」 「よく言うよ。俺が触れる前から、こうなっていただろう」 彼はそう言うと可笑しそうに微笑んだ後、ベッドから身体を起こし、私の股間に顔を埋めた。薄紅色の彼の唇が、私のものを含み、歪に引き伸ばされる。滑らかな頬が内側から膨れて、私は穢してはならないものを、穢しているような気分に苛まれた。 遠退きそうになる意識。彼の髪に指を埋め、そっと掻き混ぜる。指先に触れるその柔らかな髪が、微かに汗ばみ始めた。 「あまり強くされては、困ります」 私の言葉に、彼は、「どうして?」と目線だけで問いかけてくる。私は彼の腕を掴み、そっとその身体を引き寄せようとした。 暫くの間、彼は私を見上げた後、少しだけ臀部を突き出すような姿勢を取り、 「こっちの方が、いいのか?」 と照れ臭そうな表情で呟いた。 「――お好きなほうで。私はどちらでも、構いません」 彼の腕から手を離し、私はそう答えた。彼は不貞腐れた表情で私から顔を背け、 「お前が、もっと獣のような男だったら良かった」 と、唇を尖らせた。 「そういう男を探したらどうですか?」 「言ってろ!」 頬だけでなく、耳まで真っ赤に染めた彼が、ベッドに仰向けに横になった私の上に、覆い被さってくる。私は額に掛かる彼の髪をかきあげ、 「こんな田舎町では、相手を探すのも大変でしょう?」 と囁いた。 「煩い、黙れ!」 掌で私の両頬を押し潰し、彼は私の唇に自分の唇を重ね合わせた。微かに香る口臭除去剤の匂い。私と会う直前にわざわざそんなものを使ってくれたのだと思うと、微かに愛しさが込み上げてきた。 「大河内さん」 「な、何だよ、突然」 「いえ、何でもありません」 彼の細い指が、私の鎖骨に触れる。軽く押されるようにして、鈍い痛いが生じた。 「他の客とも……こんなことをしているのか?」 彼の頬が、更に赤みを増してゆく。彼は私から目をそらしたまま、潤滑剤で塗れた掌で、ゆっくりと、私を彼の窄まりへと導いた。 「――先刻も、お話したように、お客様の殆どが、年配の御婦人ですよ」 「だからこそ、聞いて……ぁッ!」 びくん、と身体を仰け反らせながら、彼が、私を飲み込んでゆく。私は彼の細い腰に手を遣って、ゆっくりとその身体を私のほうに近づけさせた。 「ぁ、ぁ、ぅ……あぁッ……!」 全てを飲み込み、その身を震わせる。小刻みに震え続ける彼の身体に、私はそっと掌を這わせた。痩身ではあるが、決して貧相ではない。美しいその肢体を、ゆっくりと指で辿る。胸に、わき腹に、腰に、触れるたびに彼は、唇を噛み締めて大きく身体を震わせた。 「突いて、くれないか?」 懇願するように、彼が私を見つめる。 「未だ、駄目ですよ。暫くこのままで。今動いたら、きっと、貴方は痛い思いをします」 「平気、だ。平気、だから……ぁッ」 びくん、と身体を震わせながら、彼は、ぎこちなく腰を遣った。こうして抱き合うのは、何度目になるだろうか。こんなにも積極的に求めてくる割には、彼の腰使いは、決して巧くない。 「顔を、見せて頂けませんか。私のほうを、見ていてください」 赤く染まった彼の頬に触れ、私のほうに向き直らせる。彼は幼い子供がむずかるように小さく首を振って、私から目を反らしてしまった。 「いや、だ。見ちゃ、駄目だ。こっちを、見るな」 彼の冷たい掌が、私の瞼を覆い隠す。私はその細い手首を掴み、ゆっくりと自分の口元に導いた。 「きょうも、朝からずっとピアノを弾かれていたんですね」 私がこの家を訪れたとき、リビングからはD.Shostakovichの『24 Prelude and Fugue Op.87 No.1 in C Major』が流れていた。美しく、朝日のような輝きに満ち溢れた曲。それでいて危うく、儚さを漂わせる曲だ。 「ここにはピアノ以外、何もないからな」 「――そうですね。ピアノと、ベッド。他には何もない」 不思議なつくりをした屋敷だ、と思う。外から見ると、典型的な時代がかった洋館であるのに、扉を開けると、そこにはロビーはなく、唐突に天井の高い、広く大きな空間が広がっている。そしてその真ん中に、旧いグランドピアノが一台、置かれている。エストニアという、その名の通りバルト三国エストニアで作られたピアノだ。 海に面して設えられた大きな両開きの窓。開け放たれたその窓の正面に、そのピアノは置かれている。そしてその窓とピアノの間に、私達が今、抱き合っているこのベッドが置かれているのだ。 ソファもテーブルも何も無い大きな空間。吹き抜けのその壁は白い塗料で塗られており、天井には瀟洒なシャンデリアが掲げられている。 一体何の為に、作られた屋敷なのだろうか。高い天井を持つその部屋は、まるで小さな演奏ホールか何かのように、ピアノの音色が美しく響くように造られている。 少しノスタルジックで、雅な音色。それでいて、低音はズン、と腹に来る。この屋敷に私が惹かれる理由の一つが、彼の弾く、このエストニアのピアノの音色だ。 「常に窓を開け放したままだから、こんなにも音が狂いやすいんですよ」 最低、月に一度、多いときは一週間と空けず、彼は私を指名する。一回の調律料金は、一万六千円。朝から晩まで、ピアノの前で過ごしている彼が、一体どうやってその金を捻出しているのか、私は知らない。 「窓を閉じていると、おかしくなっちまいそうなんだ。こんな部屋に閉じこもっていると、おかしくなっちまう」 悲痛そうに顔を歪めながら、彼は、私の下腹に己の臀部を擦りつけた。 「たまには外に、出れば良いでしょう。――この家の前の坂を下れば、すぐに、海に出られますよ」 彼の痛みを和らげようと、私はさりげなく腰を引いた。けれども彼は私の下半身を押さえ込むようにして、ぎこちなく腰をくねらせた。 「ぁッ……!」 びくん、と一際大きく彼の身体が波打ち、そして、きつく私を締め上げた。 「駄目ですよ。そんなにしたら……あっという間に、果ててしまいます」 「駄目だ。……未だ、駄目」 ぎゅ、と私の肩に指を食い込ませ、彼はそうせがんだ。そして上ずった声で、私の名前を呼ぶ。何度も名前を呼ばれ、そして、腕を、肩を、胸を、短く切りそろえられた爪で、めちゃくちゃに掻き毟られた。 まるで、快楽よりも痛みを求めているかのような、彼のセックス。私は出来る限り冷静を装いながらも、そんな彼の身体に溺れてゆく自分を止めることが出来なかった。 「横に、なって頂けませんか?」 その腕を掴み、私は彼にそう言った。 「いや、だ」 彼は頑なにそう拒み、私の上で腰を振り続けた。 「どうして?」 「どうして、も」 彼の声が、熱に歪む。私は手を伸ばし、そっと彼の身体を抱き寄せた。 「いや、だ」 何故か行為の最中、彼は優しくされることを拒む。私は彼の制止を無視して、そっと、その柔らかな髪を撫でた。 「やめ……」 彼の言葉の狭間に、日本語ではない言葉が、混ざり始める。何と言っているのか、私には聞き取ることが出来ない。彼はうわごとのように何かを呟き続け、そして、私の胸を掻き毟った。 痛みよりも先に、触れたい、という欲求が募った。こんな風に繋がっているのに、肌を重ねているのに、何故か彼がとても遠くにいるように感じられる。それはまるで、このベッドから眺める海のように。確かにそこに存在しているのに、どんなに手を伸ばしても決して触れられる事がない。 「ぁぅッ……ん、ぅッ」 彼の嬌声が、俄かに大きくなる。ぎこちない腰の動きが激しさを増し、ギシギシと旧いベッドが軋み始める。細い彼の腕が、しっとりと汗ばみ始める。私は左右の手を掴み、彼から主導権を奪った。 「やめ……ぁッ!」 思い切り貫き、最奥まで突き上げる。そしてそのまま擦り付けるようにして、彼のなかを抉った。 「ぁ、ぅ、そう。そこ……気持ち良い」 うっとりとした声で、彼がそう喘ぐ。 「貴方にとって、私は、張り型か何かの代わりですか?」 「ちが……ッ」 私は彼の腕を引き寄せるようにして、その身体を己のほうに倒しこませた。そしてその腰を掴み、ぐっと引き寄せる。きゅう、と私を締め上げるようにして、彼は切なげな悲鳴をあげた。 「あぁッ……ぅ、い、イク……」 「どうぞ。そのまま……イッてください」 「や、だ。まだ……だめ…ぁッ!」 びくん、と激しくその身を震わせながら、彼は私に縋りついた。その拍子に彼の窄まりも、私を激しく締め上げる。そして、まるでその場所自体が生きているかのように、せわしなく収縮を続ける。何度も何度も締め上げられ、私は微かに呻き声を漏らした。 「んぅ……」 互いの肌が、じっとりと汗ばんでいる。ベッドの軋む音が、彼の乱れた呼吸と同調する。 「このまま……出してくれ」 そうせがまれ、私は彼の身体をぎゅっと抱き締めた。上り詰めるまで、そう時間は掛からなかった。気を抜いたら今にも、全てを吸い取られてしまいそうだった。 「イキ、そうです……」 「ああ、いいよ。なかで、なかで、出せ」 いつものように、上ずった声で彼がそうねだる。そして私の背中に爪を立てながら、めちゃくちゃに腰を遣い続ける。何度か堪え、そして、堪え切れずに果てる。堪え続けた分、迎えた絶頂は、まるで学生時代に行った自慰のように、鮮烈な快楽を伴った。一瞬で突きぬけ、そして、全てを吸い取られる。全てを出し終えてもなお、彼のなかに私の精が流れ続けてゆくのが判る。 繋がったまま、彼が倒れこんでくる。汗ばんだ白い額に張り付いた、色素の薄い髪。私はその髪を額からはがしてやった後、そっと唇を近づけた。 うっすらと目を閉じ、気持ち良さそうにキスを受ける彼の、その頬が未だ微かに赤みを帯びている。 「このまま、眠りたい」 「そういう訳には、いきません。夕飯を、食べなくては。シャワーを浴びる必要もあります」 「お前、その敬語、どうにかならないの?」 「どうにかして良いほど、私は貴方のことを、知らない」 「良く言うよ。こんな風に、抱き合っておいて」 彼は拗ねたような口調で言った後、 「夕飯、何?」 と、まるで幼い子供が母親に尋ねるように私の目を覗き込んだ。 「白身魚を買ってきました。オーブンで塩焼きにして、それから、スープを作りましょうか」 「お前さぁ、最初から、ウチで夕飯作るつもりだったんだろ?」 私は彼の髪を軽く掻き混ぜ、そして、その髪に軽く己の顎を押し当てた。 「プライベートな電話番号も、お伝えしている筈ですが?」 距離を縮めたがらないのは、貴方の方だ。いつだって、私の所属する会社に、調律の依頼の電話を掛けてくるだけ。決してプライベートな用件で、私を呼び寄せたりはしない。 「苦手なんだよ、携帯電話に電話をするのが」 「どうして?」 「電話の向こうで、相手が何をしているか判らないだろう? 誰といるか判らない。仕事中かもしれないし、デートの最中かもしれない」 「――何を、今更」 肩を揺すって笑った私に、彼は、万札を二枚、押し付けてきた。 「取りあえず、調律代」 「この状況でお金を出されると、さすがの私も心が折れそうです」 「何だよ、それ」 「――何でもありません」 私は万札を枕から避け、彼の背中に手を伸ばした。 「何だよ。まだ、足りないのか?」 「いいえ。もうこれ以上は……どんなに頼まれても物理的に不可能です」 「じゃあ……」 何で、と言い掛けた彼の唇を、私は軽く己の唇で塞いだ。彼の耳が赤く染まるのを確認してから、私は彼から唇を離した。 彼の掌が、私の腕を掴む。 「未だ、足りないんですか?」 同じ言葉をそのまま返した私に、彼は拗ねたように唇を尖らせ、 「未だ、全然足りない」 と答えた。 「――貴方のお相手を務めるには、私は年を取り過ぎていますね」 「言ってろ!」 投げつけられた枕を受け流し、私は彼の腕を掴んだ。そしてその身体をそっと引き寄せる。 「なに」 照れ臭そうに、視線を反らす彼。その顎に手を遣り、私はじっと彼の栗色の瞳を見つめた。 「だから、何?」 急かすように、言葉を待つ彼。その顎から私は手を離した。 「何でも、ありません」 じれたような顔で、手足をばたつかせる彼の、その幼い仕草に、私は堪えきれずに吹き出してしまった。 「夕飯の、支度をしてきます」 「――待て」 ベッドから立ち上がりかけた私の手を、彼が掴む。 「何ですか?」 「……何でも、ない」 この関係が始まってから、既に一年近くが経つ。それなのに互いに距離を縮められないまま、私達はずるずると日々を重ねてしまっている。 「じゃあ、台所をお借りします」 「あ、ああ……」 何かを訴えるような瞳で、彼が私を見上げる。私は彼の言葉を待たずに、ワイシャツを羽織って、二階にある台所へと向かった。 冷蔵庫から白身魚を取り出し、胡椒を振っていると、ミルの立てるガリガリという音に重なるように彼のピアノの音が響いた。高い天井を伝って、この建物一杯に響き渡る彼のピアノの音色。前奏曲第一番、先刻流れていた曲と、同じ曲だ。穏やかさのなかに、危うさを秘めた旋律。その筈が、何故だか今日は、いつになく明るく、朗らかな音色に感じられた。 ――この調べの先にある旋律が、どんな旋律になるのか、私には判らない。けれども、貴方がその音色を奏でるために、私の手助けが必要だと言うのならば、私はいつでも、貴方の求めに応えたいと思う。 最後の音色が消えた後、彼が奏で始めたのは、また、同じ前奏曲だった。調律の出来栄えを、確かめているのだと思う。何度も同じ部分を繰り返しては、その響きを確かめている。そしてまた、納得したように、最初の調べに戻ってゆく。私はその旋律を口づさみながら、久し振りに立つ彼の家の台所の冷たいタイルの感触を味わい続けた。 =FINE=
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