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「青春売買」 「薫くーん、早速ご指名だよ。今日も大人気だね〜。これなら今月のトップも薫君かな」 「いや、俺は別に・・・」今の俺にとっては皮肉でしかない。店長に悪気がないことを祈るだけだ。 「あはは、相変わらず謙虚なんだね。ま、頑張れよ」 高校生のときから、俺は表の世界から消えた。色々事情があったんだ。 俺の職業は女で言う、水商売というものだった。でも真っ当な人たちに申し訳ないから、職業と呼ぶことに躊躇いが生じる。 男の相手をする男。意味は理解できるかもしれないが、存在は理解されないだろう。 最初の頃は天職だと思っていた。生まれたときから持っていた面倒な性癖を理解してくれる人たちばかりだったから。 そしてそんなろくでもない俺を求めている人がいることも事実だった。形はどうであれ、必要とされる存在だったのだ。 今、会いたい人がいる。まだ学生だった頃に好きだった彼。 それなりに仲は良かった。性欲を必死に我慢してそいつの家で遊んだこともある。あくまで友達の関係だったけど。 でも、俺はそれでも良かった。そばにいるだけで世界は何色にでも染まった。片想いは辛いものじゃなく、時折感じる切なさが心地良かった。 それからしばらくして、俺は自然淘汰された。社会に汚物として除去された。 俺がいなくなった街はどうしてこんなに綺麗なんだろう。やっぱり俺は汚物だったのか。 街を歩けない。ルックスに自信がないわけじゃないけど、目を合わせた瞬間、内面の汚さまで見透かされそうで怖い。 最近、ある変化に気がついた。 学生時代の思い出が、少しずつ思い出せなくなってきたのだ。 人間は過去を忘れていく生き物だけど、なぜよりにもよって、一番輝いていた記憶がなくなっていくのか。俺に綺麗な思い出はいらないってことか。 「薫くーん、お客さん」 「はい」今日も客足は途絶えない。皆何かに不足しているのだ。 ここで満たせるのかは分からないが。 今日の客は本当にハズレだった。それでも仕事は仕事だからいつも通り「頑張る」必要がある。 性交の最中にめげそうになったとき、俺はいつも好きだった彼のことを思い出すのだが。 「あ・・・」 「どうしたの、薫君」 「いや、何でも・・・」 あいつの名前、何だったっけ・・・? あれ? 思い出せない。 もしかして俺はそんな大事なことまで・・・。 「ほら、続きだ」 「あっ・・・」 度重なる快楽に酔わされて、弱くて脆いこの頭をいくら稼働させても、めぼしい答えが見つからない。 いや、始めからこうなることは分かっていた。俺が裏の世界に堕ちれば堕ちるほど、表の世界の彼との距離が開いてしまうことが。 嗚呼 バイバイ、俺の青春 さようなら、俺の恋しき人
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