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「[私たちは素晴らしい箱の箱の箱の箱の箱の箱の箱の中にいる。]」香瀬行鵜 個人的に、今回の応募作品の中で「最も楽しめた」作品です。 一万字をかるく越えるテキスト、そのボリュームに見合うだけの独特の濃い質感もあり、(マニアックな)詩の読者に向けた「くすぐり」を随所に配置するなどした旺盛なサービス精神も感じました。また、この作者の一連の作品群を知る読み手に対しての、更にきめの細かい仕掛けも抜かりなく施してあり、作者が本作に費やした(あるいは辛辣や真摯であったかもしれない)労力や時間を、瞬時に見事なカラアゲにして、私は素で大爆笑してしまいました。自虐ネタ(ではないのでしょうけれども)、かくあるべし、と断定したくなります。審査員特別賞に推すべきかどうかギリギリまで迷いましたね。 この作者の手による、まど・みちおの小論から閃いて導かれたのかどうかは判りませんが、敷居の低い導入部(伏線にもなってます)の意外性や、舞城王太郎(へのオマージュではなく)を茶化したようなタイトルといい、これでもかと繰り出される手練手管の、いわば詩的なスラップスティックぶりは特筆ものではないでしょうか。 ただ、かなり計算された構造が、どこまで「あまり考えず、飽き易く、欲張りで、疲れている」であろう読み手に受けてもらえるかどうか、となると疑問符を付けざるを得ない。その、あまりの長さ、いや、単に長いだけならば、はらだまさるさんや森下ひよ子さんの応募作品も同様に長いわけですが、なんといいますか、やや跳躍に無理がある箇所が多過ぎやしないか?という自問が読み手に発生するのを抑えきるだけの着地が為されていない感があるのです。テキストで指し示された(順序というよりも)方向が多岐に渡り、(それらが呼応したりはしてますけれども)距離があるので、なかなか厳しいのではないか、読み手を無用の混乱へと導き、中途でテキストを放り投げさせかねない、そんな危惧を抱きました。 そのあたりの、筆達者故にケアしきれなかった構造が、本来ならテキストが持っている筈のダイナミズムをも奪っている気もします。けして冗長ではなく、相当な工夫はされている、にもかかわらず、読み手は読後に少なからぬ疲労を感じ、再読に向かう労を惜しみかねない懸念が拭えません。跳躍の痕跡ばかりに眼を奪われがちになり、テキストを俯瞰する為に注がれるべき視線が塞がれてしまっている、(適切な形容ではないかもしれませんけれども)報われにくい詩文ではないかな、と。 なお、本作はワード文書による応募でしたが、携帯端末で読んだ場合、外観に損傷はありますけれども、却って読み易い印象はあります。そこは、不思議でした。 作風には、ただならぬ才を感じます。失礼な言い方ですが、珍しい筆、でしょうか。この筆の需要、その多寡は定かでないにせよ、供給は、この作者オンリーだという、ある種のパテントのようなものは強く感じた次第です。一代屋号、というと野暮ったくなりますが、まずリレイヤーも現れないでしょうから。 多くの読者は、想定なされておられるよりは、もっと未熟なものであると考えて作品に向かってくださると、必ずや需要は増えると推測します。いずれは何処かで大きな賞を取るような、そんな予感、というよりは期待もあります。 御応募、ありがとうございました。 追記。 この作品は、どこかで開示していただきたい、と個人的には願っております。 更なる追記。 既に(僅かに外観は異なりますが)開示されておられました。御詫びして訂正させていただきます。 以下、urlです(鍵は掛けられておりますが公開されてます)、どうぞお楽しみくださいませ。 http://caseko.blog90.fc2.com/?mode=m&no=297 また、この書き手のブログは興味深い論考が少なくなく、お薦めです。 なお、「ネット詩選」などは、初読の方もいらっしゃるのではないかと思われる素晴らしい作品が並んでいますので、ぜひ御一読を。 これらは「素晴らしいインターネット詩」の、ほんの僅かな一部ですけれども、それでも溜息の出るような作品に出会えるであろうこと、御約束致します(私の個人的なネット詩選にも半数以上を選ばせていただいております)。書き手によっては、サイトが削除されたり、サーバー自体が消滅したりしているものも相当数、含まれておりますので、所謂「投稿詩サイト」の残存ログや顕彰によるテキストの保存の意義は、今後もあるのではないかな、と感じました)。 読み手の一人としても、香瀬さんに深い感謝を。 ありがとうございました。
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