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「境内のお化け」 夜降る雨は、言葉静かに地を湿らせていた そこに横たわる木葉が靡かぬ程度の風に、揺られながら 命を感じられない事などない森を両脇に携えた、手摺りのない百を裕に超える段々を登り切る手前 トタン、とした鈍響は枝落ちであろう 聞こえはしないが、後に羽音が続くのかもしれない 最終段を後にし、一対の狛犬と、焦げ茶と橙を混ぜ合わせた門に頭を下げて、彼を目指す 昔からあったのか、誰かの手によって植えられたのか、一つ 持ち主の分からない大木が堂々たる存在感と威圧感を示し、そこに在る その地域一帯が彼、もしくは彼女の管理下にあるかのように 薄い朝闇の色付け、甲高いフルートの音は、その覆われた深い碧の中から鳴っている 瞬間、御神木が息を吸い込むと同時に夜明けの鴬が鳴り止む 秒も無いかもしれない無音は、確かに自分の心臓を高く響かせ、閉じた目を開けるだけの行為すら酷く長く感じられた 目の中の薄い膜の焦点が合うにつれ、幹が、枝が、葉が、溜めた息を一気に吐き出す様を捉えた 消えた霧と無音がまた、彼ないし彼女の存在を強調させた
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