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水をかけないでほしかった、乾いた土の上で眠っていたのはたまたまだった、太陽はいつもどおり沈んでいった、世界が絶望的にきれいだなんて言えなかった、くちばしには錘があった、見えない糸に絡まれては、食っても食って腹ペコだった、鷽みたいに鳴きたかった、吐いてばかりだった、水をかけないでほしかった、鮎や山女を食いたかった、鮒の泥臭さに辟易して翼を広げたかったけれど、見えない糸は血管を食い破り、乾いた土に吸われていく血液、世界が絶望的にきれいだなんて吐けなかった、鮒の残骸ばかり吐いていた、太陽はいつもどおり川面を染め上げ、時折深呼吸するのが日課だった、見えない糸が透明を赤い色に染めて、くちばしには錘があった、錘の先には鈎針があり、吐いたばかりの鮒が絶命していた、絶望的にきれいだったなんて言いたかったわけではなかった、言えなかったのはくちばしに錘があって、それは鮒の腐臭を漂わせていた、太陽はいつもどおり沈んで、食い込んだ釣り糸が翼を完全に喪いだ、喪がれた翼の付け根にから腐った鮒が飛び出していった、吐いてばかりの日々にうんざりだった、食いたかった、もっといろんなものを食いたかった、鮎や山女を食い破り、血肉にしたかった、透明な鮒が翼を奪って飛んでいった、大きな瘡蓋の塊みたいになって干からびていた、錘だけが残った、
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