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−−銃後にはジュースを飲もうな。 口から血を吐き出したカサモトは、三日前にそう言って笑った。 僕がそれに対して、りんごジュースを飲みたい、と答えたら、彼は唇の端を持ち上げながら、愚かな、と答えた。 −−みかんだ。 三日前の夕飯の後だった。 僕らは二人きりで、ジャムって本来の用途として使えないAKを杖にして歩いた。いや、歩いているつもりだった。 森林限界を越え、地べたに這いつくばるようにして生育しているモミ類の樹木を横目に、僕らは満点の星空のもとを歩いた。 −−ほら、見てみろよ。世界がみかんみたいだぜ。 夜が明け、呆れるほど美しい日の出を見ながらカサモトは言った。 −−なんだか断末魔みたいだな。 −−それを言うなら夕日だろ? 僕の答えにうんざりした彼の視線を思い出しながら、吐き出す血、震える体を支える。 冷たくなるカサモト。 −−みかんジュースを飲みたいなぁ。 僕はそう呟いて見下ろした。眼下には何もない。
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