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「して、どちらがどちらなのか」 ずいぶん長い間をおいて絞り出すように彦八は問うた。 「大商会が女の子を。野党が男の子を、でございます」 やはり、と腕を組んで彦八はまた黙り込む。 お竹が大商人の娘であれば産着の質の良さや漂う気品にも納得がいったし、桃太郎がならず者の落し子であれば奔放で暴力的なところも頷けた。 だが賦に落ちぬことはある。 「なぜ未だに探しているのかが解せぬ」 考えにふけるあまりに丸まった背を伸ばし、改まって疑問を吐き出す。 「そこは人の暗い部分でございましょう。商家にも野党にも跡目や権力を欲する輩が居るのでしょう。子を捨てた理由があるように、子を手元に置くことで謀を練っているのではありますまいか。 実を言えば、娘婿が来てくれねば私どももどろどろともつれていたやもしれません」 「かようまでに人の業は深い、か」 庄屋の憶測を受け、彦八は道場をたたみ山奥へと移った経緯を思い出していた。 「このような山田舎でも人は変わらず人なんじゃな」 苦々しく彦八はもらし、「そのようで」と小さく庄屋が相槌をうった。
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