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鈍い鉛色の空が広がる。まだ太陽が落ちるには時間があるはずなのにモノクロームの景色が町中から続いていた。漆黒のマントが町外れの洋館の前で静かに揺れた。真夜は小さな革袋からマントと同色のガラス片を一つ取り出した。そのままガラスにふぅっと息を吹き掛けると声をかける。 真夜:お仕事頼んだわよ[E:0454] そのまま漆黒のガラスの欠片を無造作に地面に落とした。破片は割れる事無くまるで水に落ちたかのように土の中に沈んでゆく。それを確認すると僅かに口角を上げて洋館の重い扉を押し開いた。真夜の足は屋敷に一歩踏み入れたところで動きを止めてしまった。突き刺すような視線を感じたからだ。相手は判りきっている。あの女だ。 女:ノックくらいして下さい[E:0258] あの女が敵意を込めて声を吐く。しかし真夜は悠然と微笑み止めた歩みをまた始めた。 真夜:ごめんなさい[E:0454]私が来る時はいつも鍵を開けてくれているから入ってしまったの[E:0454] 音がするかというくらい女は睨み返してきた。きつく口元を結んでいる。薄暗い洋館の玄関では二人の女の間から詰めた空気が広がっていった。真夜はもう一度微笑みを作り、ごめんなさいねと首を傾けた。但し目線では鋭く女を刺してやる。女がうつむいた。真夜はその表情に一瞥するとまた歩きだした。美しく微笑みを浮かべたままで。女は扉を激しく開けて外へ出ると乱暴に締め切った。古材のぶつかる衝撃が玄関ホールに響きこだまする。耳障りな音だと真夜は思ったが、顔にも口にもださず真っ直ぐに獲物のいる部屋へ足を向けた。
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