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洗濯屋の午後。梅雨明けの、それまでの湿気を払拭するようなからりとした好晴で時折穏やかな風が通り抜ける菊池家リビングの窓辺では風鈴がちりんと涼しげに鳴っていた。そんな爽やかな陽光の中巧はリビングにてアイロン済みワイシャツの袋詰めという、この上なく地味で最も苦手とする作業の真っ只中に居た。背中合わせに同じ作業をもくもくとこなすのは真理。啓太郎は店番中。同じ姿勢で何時までも同じ作業をしているのは苦痛だ。いーかげん肩凝ったと巧は真理の背中に自分のそれを押し付けてぐーっと伸びをする。 巧:なー真理ー肩もんでくれ[E:0258] 真理:やだ[E:0258] 速攻で。予想通りの応えが返って来た。 巧:美容師見習いの仕事なんて掃除と肩もみくらいだろ[E:0814]練習だ練習[E:0814] 真理:馬鹿にしてんでしょ[E:0258]結構重労働なんだよ[E:0734] 背中を向けたままの会話。だいたい背中押し付けてきてウザイ、やめてよ[E:0734]と、うんざりした口調の真理に剥れた巧、嫌がらせとばかりに先刻よりも強くグイグイと背中を押し付ける。 真理:ちょっと止めてよ[E:0734]潰れるじゃない[E:0734] 巧:潰れろっ[E:0734] かちんと息巻く真理の大きな黒い瞳が細められ口元がギリギリと軋んだ。ぐっと全体重を掛けて寄りかかってくる巧の背中をうんと引き寄せて。不意に自分の身体を右にすべらせる。支えを失った巧の背中が勢い良く転がってがつん[E:0734]と派手な音を立ててその後頭部がフローリングの床に打ち付けられた。 巧:……ってぇ〜っ… 頭を抱えて蹲る姿を見て、ぷぷと噴出す真理に激高する巧。 巧:お前[E:0734]すげぇ音したぞ今[E:0734]星が飛んだぞ[E:0733] 真理:天罰よ天罰[E:0258] 溜飲を下げた真理が巧を見下ろしてフンと嘲笑う……頭にきた。 巧:お前なぁ[E:0734] 真理:……え[E:0003] 勢い良く起き上がった巧に突如二の腕を掴まれ真理の視界がぐるんと反転する。自分も頭を床に叩きつけられる[E:0734]と感じた瞬間、くんと掴んだ腕を引かれて身体が浮き、その反動でこつんと軽く後頭部が床にぶつかった。 巧:ビビったろ[E:0003] 一瞬何が起こったのか解らずきょとんとした真理の何時にも増して見開かれた大きな瞳が悪戯っぽく笑う巧を見上げる。少し頬が紅潮して黒い瞳が黒曜石のようにくるりと煌いて吸い込まれそうだ。どくんと心臓が鳴った……ヤバイと巧は感じたが。その瞳に吸い込まれるまま、導かれるように唇を重ねてしまった。触れるだけのキス。
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