メッセージの編集
お名前
メールアドレス
※変更する場合のみ入力
ホームページ
本文
あの落日から二週間が過ぎようとしていた。 世界は赤黒く終わってゆく気がする。 生まれたての純潔な血液 赤子の産声 母の微笑みはあの 深いオレンジに似ている 全てが許されたような 顔つきで空は滲み出る 月のまなざしの傍らで 僕は帰心の唄を 追い駆けていたんだ 俄雨に日焼けした肌が濡れて、剥がれきった太陽は 無性に冷たく辺りを渇かしている。唸りをあげるような入道雲にアスファルト。存在するもの全てが浮き彫りにされて、色鮮やかに影や臭いや記憶を証明していた。 僕は夕刻になると、時間が許される限り、夕陽を眺めていたかった。慈悲深い光の陰りとか、雲の少し黒みがかる色合いが熱く焦げてゆくところとか、宇宙へと繋がる空の層を見上げると、僕をやけに僕自身にさせてくれる。 そう。空洞になる。なにかに満たされた空洞だ。 この時僕は記憶に縋ったりしていない。感傷的にもなっていない。今を感じている。明日のことは頭にはない。僕の岸辺に辿り着くための時間であるように、全てが開放された時間だ。まっさらだ。僕は佇むというより、ぽっかりこの地球に浮かんでいるような気持ちになる。 そしてしんとしている。 見守るような気持ちで夕陽を遠くから眺める。 僕が僕である為に。 染まれ、落日よ 金色の穂が透明なゆらぎに名前をつけてもらったらしい。彼らの名前は安らぎ。行き場を定めない放浪者の口笛はこのアスファルトに朦々漂っている。 うなだれたダリアと 水平線と 染まれ、落日よ 永遠に続く線路のよに おまえの影さえも 消せずに 染まれ、落日よ
設定パスワード
編集する
削除する
[
掲示板ナビ
]
☆無料で作成☆
[
HP
|
ブログ
|
掲示板
]
[
簡単着せ替えHP
]