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水が流れるから 行かなくちゃ。 呼んでる、 哀切のジンタ。 秋風が運んできたんだよ ご愁傷さま。 青い青い青い空の青い巻き上がるよな螺旋の感覚に頭の天辺から急速に絞られるようで泣きたいのだか笑いたいのだったかそれさえもう判らない其処にあるのは反作用の重力だけ。左廻りに浮遊する重力――。 秋の空は嫌い、 秋の空は嫌い、 何処かに行ける気になるからね、 本当は何処にも行けないのにね、 見世物小屋が出ている。 猫娘がしきりに手招き。 祭りの住人になりたくて、僕は、 カルメ焼きの馨で生きているつもり。 金魚と一緒に泳げる、つもり。 ペロリと出した舌先は 林檎飴の紅。 風のゆるやかが髪を揺らすのが水に巻かれるのと酷く似ていてその重苦しい安堵にうんざりしそうな自分が嫌い飛ぶ夢を見なくなったあの日を思い出したくなくて必死で藻掻いている。喪失が僕を酷く不安にさせる――。 彼岸花が咲いてます。 空気に流れだす紅色がまるで焔みたいで 一等好きな花なのに 僕は恐くなってしまったりもする。 あのね、 ごんぎつねの葬列を思い出すんだ。 これは内緒の話。 水が流れるから 行かなくちゃ。 あれはビィドロの音色。 真っすぐ行くんだよ、 間違うな。 見渡せ過ぎて怖かった。 烏瓜が揺れていて、 百舌鳥が啼いたりしていた。 右を向いても秋で、 左を向いても秋だった。 何処までも、秋、だった。 青い空と彼岸花と、 昼の月。
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