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先生「えー昨日から出来杉くんが家に帰っていないということでご両親が大変心配なさってます。出来杉くんが行きそうな場所など心当たりのある生徒は先生まで知らせに来てください」 担任教師の言葉に、教室の中がざわつきはじめる。 特に女子は過剰なほど心配の態度を見せ、皆一様に出来杉の無事を祈る言葉を口にしていた。 先生「えーでは、先週行ったテストを返したいと思います」 教師の言葉はほとんど生徒達に届いていない。 テストの返却が始まっても生徒達の話し声が止むことはなかった。 これはのび太達のクラスにしては珍しい光景だ。担任教師は生徒達からかなり恐れられている存在だったからである。 通常であればおしゃべりをやめない生徒達に教師の雷が落ちるところだが、今朝は教師のほうでも出来杉のことが気にかかって生徒を叱責する元気がない。 淡々とテストを返却していく。 先生「次、野比くん!」 野比「はい…」 とぼとぼと教壇まで歩くのび太。 その姿を見てからかうのが剛とスネ夫のお決まりだが、今日はやはり2人ともおとなしく席についている。 教師「野比くんにしては頑張りましたね。この調子で」 野比「え?」 のび太は返されたばかりの答案を凝視した。 右上に大きく赤ペンで書かれた数字は80。答案を持つ手が震えた。 のび太にとってそれは、ほとんど奇跡に近い数字であった。 休み時間になり、のび太は早速しずかのもとへテストの結果を報告しに行った。 のび太「しずかちゃん、僕さっきのテストで80点だったんだよ!」 しずか「え…?」 しずかは困惑の表情を浮かべていた。 瞬間、のび太は予期せぬ彼女の様子に尻込みしたが、この奇跡をすぐには信じてもらえなかったのだろうと思い直し、もう一度同じ台詞を口にした。 のび太「しずかちゃん、僕さっきのテストで80点だったんだよ!」 その時だった。のび太に向かってひどい言葉がぶつけられた。 女子生徒「のび太さん、他の教科ではいっつも0点なのに、なんで保健体育のテストだと80点取れるの?いやらしい!不潔だわ」 しずかの友人達が揃ってのび太に対して非難の目を向けていた。しずかだけは困惑の表情を浮かべたままである。 のび太「しずかちゃん…僕…」 のび太はすがるようにしてしずかを見つめた。 一言だけでいい。しずかから誉めてもらえれば、他の女子の言葉なんてどこかに吹き飛んでしまうのだから。 しずか「そんなことより今は出来杉さんの無事を考えるべきだわ。出来杉さん…今どこにいるのかしら…」 女子生徒「ほんとよね、のび太さんたら不謹慎なんだから。出来杉さんが心配だわ…」 のび太は疎外感を味わうばかりだった。 ――なんだいみんなして出来杉出来杉って…。
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