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本文
……長きに渡る戦いが終わり、世界には平和がもたらされた。 即位したシャインは国民から恒久の女王と崇められ、ユーリと共に幸せな日々を送っていた。 そして、60年の月日が流れた―― 「……ユーリ!」 振り返ると、いつもの彼女が立っていた。 「あれ…今日はお勉強終わり?」 「うん。先生にご用が出来て… ユーリこそ、またガイに怒られるんじゃないの?」 「あー大丈夫大丈夫♪ガイに怒られたくらいでひるむあたしじゃありません!」 「…もう、ユーリったらいつもそうなんだから…。」 あきれている幼なじみをよそに、少女は得意気にはにかんだ。 腰の辺りまで伸びた黒髪と藍色の瞳を持つ少女は、まさしく彼の姿そのものだった。 「叔父様もユーリに甘すぎるわ。いくらお祖父様に似ているからって…」 「しょーがないじゃん。お父様はお祖父様を尊敬して止まなかったみたいだし。じゃなきゃ娘に同じ名前なんて付けないでしょ。 ま、そのおかげで勉強サボっても怒られなくて済むんだけどね☆」 「ユーリ!!」 「はいはい分かったって。そんな怒鳴らなくても今から行きますよ〜。もう、シャアラは真面目なんだから。」 公爵家の娘であるシャアラは、ユーリにとっていとこでもあり幼なじみでもあった。 「ユーリは将来この国の女王になるんだからちゃんとしなきゃダメよ。いつも言ってるでしょ?」 「女王ねぇ……あたしにはお祖母様みたいな力なんてないし。」 「そんなの!なってみないと分からないわ。」 「そんなもんかなぁ〜、んじゃ!そろそろおとなしく部屋に帰って勉強してくる。」 「…ええ。またねユーリ。」 ユーリはシャアラと別れお城の中へと戻って行った。 もう3月と言えどバチカルの春はまだ寒い。 冷えきった手と手をこすりながらゆっくりと自室に向かう足取りは重かった。 (…はぁ、毎日毎日勉強ばっかして何になるのかな。 未来の女王様になるため-!!とか皆は口を揃えて言うけど… あたしは女王なんて興味ないし。お祖母様は好きだけど、比べられるのはもううんざり。 あたしは、もっと自由に生きたい。 自由が……欲しい。) 「自由か……」 「自由がどうしたんですか?」 聞き慣れた声に顔を上げると、自室のドアにもたれかかった彼がいた。
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