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本文
【簡単に人を信じるなかれ】 次の日、宿屋を出るとそこにはアルヴィンさんの姿がありました。 約束を守ってくれたことに少しホッとしてしまったのはココだけの話です。 「よ!よく眠れたか?」 「おはようございます。えぇ、久しぶりにぐっすりと。」 「そりゃ良かった。」 お互いすでに旅支度を整えているものの、まずは今後の予定を立てなければ。 朝食がてら近くの売店へ行くことになりました。 テーブルにつき、簡単な朝食を頼んでいる間にジッと通りかかる人を観察します。 このア・ジュールと言う国は、様々な民族から成り立った国家だそうです。 民族同士の武力間抗争が耐えなかったこの国をまとめたのは、現ガイアス王。 力をもって弱い民を守り、導く、良き指導者らしいです。 そんなア・ジュールと肩を並べるのは、海を渡った反対にある国、ラ・シュガル。 その国は昔ながらの王族の血や、権力を盾に治安を維持している国だそうで、ア・ジュールとは十年前に大きな戦争をして以来、緊迫状況が続いているのだとか。 「……戦争中にこなくて良かった。」 「ん?なんだ?」 「いえ、何でも。」 やがて運ばれてきた朝食に手をつけながら、僕はアルヴィンさんに聞きました。 「それよりこれからどうするんですか?」 「そうだなぁ…これといって特に新しい仕事はねぇし。おたく、外は初めてなんだろ?観光とかしていかねぇの?」 「昨日の間に必要なところは回ってしまったので特に行くところはないですねぇ。あ、そうそう、聞いておきたかったことがあったんです。」 そう言って僕は、銃が珍しいのではないのかと言う事、アルヴィンさんはどこから弾薬を買っているのかという事を尋ねました。 すると、アルヴィンさんは何とも言えない顔で逆に僕に聞きました。 「……おたく、アルクノアって知ってる?」 「あるく、のあ?」 「じゃあ、エレンピオスは?」 「?」 その言葉に首を傾げると、アルヴィンさんは知らないか、と残念そうにため息をつきました。 それから言葉を選ぶように慎重に僕に話し始めました。 「アルクノアって言う組織がいるんだが、基本的に銃や弾薬はそこからしか調達できない。で、それを踏まえてこっちからも質問。」 カチャ そう言って僕をみたアルヴィンさんの顔は無表情。 それと同時に机の下から聞こえたのは銃の安全バーを外した時の音。 机で見えなかったけど、おそらくアルヴィンさんの銃口は僕の足を捕らえているのだろう。 僕の顔が強張ったことを確認してから、アルヴィンさんは静かに問います。 「おたく、何者?」 目次 >>1 前へ >>11 次へ >>13 130319
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