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すりぬけるような猫と この街の青色を愛す 宵空に翻るのは猫の影だ あたしの祈りは うずもれて ぱらぱら乾いた砂になる 憂愁のロウラ、 あなたの デザートローズに舞い降りる やわらかい、埃 憂いときらめき 愛しくださいという歌声に あなたの愛は短三度で ふんわりと重なりました あたしにも雨が降るでしょうか 優しい雨が あたしの瞼にも 額にも 舌の先にも 永久に潤うのでしょうか この大地は そのために衝突し合うのでしょうか 形の異なる大陸は 刃物が擦れる音に似た プレートの境目に 色とりどりの旗が翻って 君のトリニティ・テスト 初めてだった、 という響き 睫の下で融解をはじめる 密やかな訪れと別れ 抑圧されたグレー 爆音と入道雲にふくらがる 涙と一緒に失ってしまえると、 何処かで教わったよ そんなに かなしい表情をしないで そのうちに黒い灰は流れるから あなたを愛する前にまず 言葉を乗り越えて 灰色の活字の海を乗り越えて 抱きしめてさせてください もしくは 愛している、と動く くちびるを見つめてください 何もいわないでただ、 人差し指で触れてください 潤うのでしょうか この街は 海辺のロウラが泣いている、 遠い国からの、色あせた日報で やっとその事件を知りました あたし、急いで走り出さなきゃ 泣いているあの子に間に合わない どの場所であれば 届くのだろうか いま臨界点をすぎたばかりの 地核のため息に安らいでいるの ただの、この日のちいさな、 安息吐息をだきしめている 「いつ」を映写機にかけていた? 十字路の青い影 きみの猫は 街に抱かれて見上げているの 笑い顔 泣き顔 無数の国旗がきらめいていて それだけを、 瞬きして見つめている ぼく、という響きから あたし、という代名詞までの ほんのわずかな、わずかな隙間
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