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どこか哀しい匂いが鼻をついた あなたの名前が呼ばれるのを くちびるをかんで聞いていた プラタナス、 揺れる葉のチャコールグリーン 陽射しをあびた鉢植えが ひっそりと葉を裏返して 窓枠に掛けた葉先をまるめています * 高度3千フィートの上空から 急降下する幸運に揺られて ポツリと、 選びぬかれた言葉がある 老人に道を譲るように あたしは、 ほどけたちいさな魂といれかえに この世界にうまれおちた * プラタナス、 うすばかげろうの震える羽 紺青の空をかけぬける風が すべてをふきぬけて 地上3千フィートから見おろした世界は どんなにちっぽけでしょうか ひからびて鉄格子に絡まる夕顔を 透明なひとさしゆびにくるくる巻きつけて 昼下がり、古い庭園の入り口 あなたは遠くへいってしまった * 草原を走るきんいろの列車を 「いまだ!」のタイミングでとめて 息を、とめて とめてみて 嘘みたいな彼らを、 連れ戻しにいけないかな * 鏡台にうつむいた白い顔 ちいさくおしこめた鏡の国と 緊迫した糸で稜線を張る それさえもいつしかの、 人違いで、 三軒先を悠々と歩き去る 透明な足音と、呼ばれてしまった昔の名前 * 限りない空白は 秋の曇り空のように 困惑したぼくを背後から見越している * 露草で爪を染める 真青な沈黙 渋い蜜と、嫉み また出会う日の指きりに 祈りを、呪を、祝辞を爪先に刻み込む 指切りのジェスチャー * 熟れた、白いスニーカーの泥 露草が染みる青紫 艶めかしい、と睨みつけていた 踏まれた草は、香り しなだれ、 * プラタナス、 がらくたで窒息しそうなガラスの天井 瞼に降りる憂愁を ただ、待っていた 大理石の夢を見た 手を伸ばしても、届くことのない背中が 風景にこぼれだして ただ、泣いていた やわらかい霜のおりるころに くちづさんだソネット * プラタナス、 僕はただあの空へ死にたかった
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