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ずっと前の感情を思いながら 駅までの坂道を下っていく 腕に下げた缶詰が重い オリエは坂を下る 西から電車がやってくる 電車に乗ったら海へ行ける もっと大きな街へも行ける 街へ行ったら下着が買える 坂を下る オリエは犬を飼っていて 犬がいるからどこへもいけない 餌をやらねば死んでしまうから 買い物に出る 坂を上って降りてくる コートが痛むから 抱いてはやらない 駅に着く 電車は海へ行った 電車は街へ行った オリエは駅を通り抜け 反対側の坂を上る 坂の上にはポストがある いつか手紙を書いたなら 誰かに会える ここに、いますと誰かに言える オリエの家は坂の途中にある ドアの向こうには犬がいて 腹をすかせた犬がいて オリエの帰りを待っている 獣の匂いに閉口しているから ただいまは言わない オリエは犬に餌をやる 自分も食事を作って食べる 犬は不乱に餌を食べる オリエも黙って食事にかかる ずっと前の感情を思う 外はこんなに風が強い 犬は餌を食べている 「寒い、寒い、この手をご覧よ クリクーシカ」 そう言って オリエは犬に触れた 毛、皮、骨、肉、こどう 犬がオリエを見た 私も同じ、無残なたましい
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