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夕飯の後、妻の代わりに洗い物をしていると、息子が急に、すっと足下に入り込み、なかなかそこから動こうとしない。 水がかかるよと言っても、まったく動く気配がない。 変に思い、なにかあったのか聞いてみると、息子は、僕の両足にしがみついた体制のまま反り返るように上を向き、 「ぺんぎんさん、ぺんぎんさん」と口元をほころばせながら言った。 どうやら、さっきテレビで見た皇帝ペンギンのつもりらしい 「なるほど、つまり離れないわけだ」 「うん!ぺんぎんさんだから!」 息子はとても嬉しそうに言う。 ぼくは、こういうのも悪くないなと、息子の気が済むまでぺんぎんさんにつきあってやることにした。 しばらくして洗い物を流し始めると、案の定勢い余った水が息子の頭に飛びかかる。しかし息子は、嫌とは感じないみたいで、水がかかる度に奇声をあげては、笑い、たのしんでいた。 洗い物を終え居間へ向かう間も、息子は決して足下からは離れない。居間へたどり着くと、足下にしがみつく息子をみて妻が、今度はなんの遊びなの、 と笑いながら息子の顔をのぞきこむ。 すると息子は、 「ぺんぎんさん!」と、これ以上ないくらいの笑顔で答える。 妻は、そうなんだ、と微笑みながら、足下に居る息子をすっとだきよせ、もう寝る時間だよ、と、やさしく頭を撫でた。 すると息子は、魔法にかかったかのように、素直にうんと返事をして、流星の如く布団へ向かった。 妻はまた笑いながら、その後を追う。 ぼくは、あっという間のことに、あっぱれな気持ちを抱きつつも、ぺんぎんさんはどこへ行ったのだろうか、と、少しの間そんなことを考えながら、も、でもまぁこういうのも悪くはないかな、とすぐに炬燵に入り、ふたり分の蜜柑の皮を、せっせと剥きはじめた。
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