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数字がびっしり並んだところは 小さい虫の標本みたいだ わたしは答案用紙に名前を書いて それ以上何も出来ることがないから じっと問題を見つめている ]とYと=と 座標と集合とAとB 毛羽立ったセーターでうつむくと おなもみみたいにくっついてきそうだ 冬の教室は石油のにおいで 四角く並んだ子供らは 胸像みたいにまっさおだ やがて隣の男の子が 灰色になって動かなくなった あんまりわからないので 石化してしまったのだろう そっとつつくと椅子から落ちて 粉々に砕けてしまった それがきっかけみたいになって ある子は耳から水をこぼし ある子はくるくる回り始める XやYを飛ばす子もいれば だんだんとろけてゆく子もいて 教室は夜のサーカスみたいに 色々な音で充満してゆく やがて先生が戻ってきて 解答用紙を後ろから集める 床は水や石の破片で びたびたがさがさ音がした 集め終わると先生は ちりとりとほうきで砕けた子を集めて 教室のゴミ箱にがさっと捨てた そのうち獣のあくびのように のんびりとチャイムが鳴り響いて すべてが終わったあと わたしは夜のにおいをかぎながら うすぼんやりと帰ってゆく 振り返ると 石化して砕けたはずの子が背後にいて いつのまに貼りあわせてもらったのか 亀裂だらけの顔でこっちを見ている 家に帰ってセーターを脱いだら 小さいXがぽとんと落ちた くしっと握りつぶしてみると 掌が真っ黒く汚れてしまって 石鹸で必死に洗っても 随分長い間落ちなかった
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