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どこの家でも、大人たちの歯磨きは まるで恐竜を思わせる そのくらいに私の耳が幼かった頃 当直前の父は必ず、 「ママがネズミに齧られないようにね」 と、私に頼んでから家を発った 恐竜のような母が、実はネズミに弱かった そんな父の創意が心地良い そのくらいに私の耳が幼かった頃 私の日々は、 くすんで読めなくなったルームナンバーの、 内側で母を護衛する 最強の小型哺乳類だった クッキーを齧るときは、必ず 半音ずれて聞こえる そのくらいに私の耳が幼かった頃 恐竜たちとネズミたちの合間で 友と笑いあった 食べられたクッキーの枚数を数えながら 自分の強さを確認する そのくらいに私の耳が幼かった頃 もう、父を待つこともなくなった 真新しいルームナンバーの内側 ネズミと同じ音階で クッキーを齧るようになって、どこの家でも 同世代の恐竜が歯を磨いている 半音分の鳴声に、そっと守られながら 私たちの日々はいつまでも幼かった
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