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交差点で立ち止まると 二度と信号が変わらない気がして アスファルトをすり減らし ポケットの硬貨を折り曲げ 黒目が裏返ったとき 明かりがともる 。 夜に 引きずり込まれ 潜んでいた声とともに 溢れてくるものたちを かかとの外れてしまったスニーカーで 踏み潰してもふみつぶしても なお溢れ 車道にすべり落ちていく体液は 赤いあとをつけて あなたの家に届けられる 。 やりきれなくて 溢れてきたものを アスファルトのくぼみに埋めていると いっそう濃くなった夜が 反転し わたしは声を潜めていた 。 そして無数のわたしが そこかしこの暗がりから どうしようもなくはみだして 片っ端から捕らえられ すりつぶされ それでも どうしようもなくはみだして 悲鳴を上げ続ける 。 はみだすわたしは 手遅れであることを知りながら あなたの家の前の 赤いあとを あなたが気づくより早く 消してしまいたいのだ 。 すりつぶされたわたしは ポケットの中の 折れ曲がった硬貨が 数多の流れ星の一つであることを知っていて 夜は 信号が変わると同時に明けてしまう 。
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