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ずん、と胸の奥の方、手を当てて泳いでみて下さい。白い息をゆっくり呑み込んでゆけば、ほら。 少しぼやける右目のあたり、走馬灯のように、海のおと。憧れの向こう、指先から唇の色、いつくしむ唄。唄った声の持ち主を知る僅かな星の砂は、波音にさらわれてちらちらと光るばかりです。とても愛しい、見知らぬ貴方。 左目は確かに聴こえるので、遠くに耳を澄ましてみます。すると悲しい顔した船舶が、瑠璃の手紙を運んできます。影法師を滑らせた空が曇りだし、沢山の雨音に私の海、は千切れてゆきました。溢れて、ゆくのです。 碧色の世界が転落して、私の瞼は思い出したようです。湿った睫毛のビロード。最後の海を拭う指。 貴方、やっと出逢えましたね。 ооооооооооооооо 眠り姫、君を映した泪月。今は幼い掌に、朝霞の氷点下を感じませんか。頬に色を、撫でるように重ねます。眠り姫。どうしてそんなふうに、幸せそうに睫毛震わすの。傘を。眠り姫、君を映した泪月。その暖かさにさらさらと、君のいのちが溶けてゆくのを感じませんか。粉々に輝く海に、私の匂いがあるでしょう。舟を。君になら、何度だって出逢うよ。 葉脈を越えて、精一杯唄う。 唹咽が頭に響いて、少しのめまいと夜の星空を温めています。私は足の先から見つめては、泣いてしまった後の不確かな残像をなぞっているのです。そう、昔貴方に頂いた小さな真珠の小箱に籠めてみようと思うのですが、瞼の辺りに仰々しくすがりついている後悔が念を押して、囁きます。 忘れておしまいなさい。忘れておしまいなさいよ。さあ。 こおりみずをすくう真似をして、それを湿った土壌の上に染み込ませてゆくのです。頑なこおりの粒は、私の掌の熱をすり抜けて柔らかな茶色を透かしながら、勝手な輪郭をなくしたままで寝台に横たわるのです。 そのまま時が流れてゆくならどんなに幸せなのでしょう。まるまって眠る私のからだに降り注いだ感情を、躊躇いもせず手放せるほどの鮮やかさで留めておくことができたなら、私は深海魚のお隣で遠くなって祈ることもできたのでしょう。なくしてはいけない、とは大げさな言葉なのです。 君が僕を見て、僕が君を見て、震えた繊維のような空気を。そっと、僕だけの。空間の鮮やかさ。3グラム先の君が、3秒を数える私が、小枝の距離で揺らすように一歩、一歩。頬は染まっているでしょうか? ぽつんと、降ってきた、君の口元から。もう一度確かめて、それから微笑んで、伝ってゆく。君の胸のあたり、少し痛くて、始まりのように真白い、冷気を撫でる、ウェーブの。隔てる霧を、近づくほどに暖かい蜃気楼を、水滴を纏う硝子窓から見つめること。君の軌跡に沿う、仕草を。 描かれた声を、ゆっくりと映し出す瞼を飲み込んで、力を込めた人指し指の先。 (心を込めて) あの方のお空には、真っ白な世界が住んでおられるのでしょう。その世界に満ちる澄みすぎた空気を、少しずつ少しずつ掬っては、私には見えない言葉を小さな音階にのせて、広すぎるその世界の真ん中で歌うのでしょう。(誰に向けて?)さらさらと。(私なら窒息していたでしょう。)溢れ落ちるミルク色の涙を目の前で転がして、心を痛めながらも歌い続けるあの方の輪郭ばかりが目に焼き付いていて。その度に追い付いた言霊が輝きを増してゆくのに、あの方は自らの世界で傷ついてゆく。ほら。願いばかりが隔てるものの無い空へと放たれて、雲を集めて雨を降らしています。(蒼いままで。)絶えきれず手を伸ばしたら、あっけなくも触れた暖かさに胸が突かれて眠りの海へ堕ちていましたた。一秒毎に抱きしめて、一緒に歌えたらいい。あの方は、独りではないのです。
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