メッセージの編集
お名前
タイトル
本文
ハンモックのようにつるされた 真っ白なシーツの上でころがされている。 それ/だいじにしていたかった。 (私は潮風の声に耳をかたむけない。ひたすら革靴と自分をすり減らす。すれ て熱をおびた右胸から、青いワイシャツがはみ出していた。だから、私は制服 を着ている。それでも社会にこすれ、傷む私の器は潮の香りをまとっていく) あたらしい私なんて生まれてほしくないのに 「それでも海はあたらしいあなたをはこんでくるのです」 もう大きくなれない先生が涙を重ねるのは、死ぬためですか? 「波を重ねるのです、生きるための」 落ちたしゅんかんに吸い込まれていく、布の繊維の奥ふかく。 それが惜しくて、爪でかきとろうとする。 なめらかに思えたシーツも、こうしてこすってみると、ざらざらしている。 舌/みたいだ。 潮の香りがあたりにたちこめていた。 ハンモックのように私はつるされて、ことばをころがし、遊ぶ。行間からにじ みでてくる“貼り合わせた意味”と“私自身”。重なるほどに、尖っていく。 やがて、私の繊維がぷつぷつほつれていき、見上げると誰かが私に顔を押しつ けていた。その息づかいが しょっぱい。 「涙が成長を促進させるのですよ」 黒板に描かれたさざ波に飲まれ、私はブレザーを脱ぎ、ワイシャツを脱ぎスカ ートを脱ぎ捨てた。唱えられた先生の言葉をふりきる。涙に養われてきたわけ ではないはずだ。 私は潮風を吹かせたい。 さしのべた手がしっとりと濡れそぼつ。 シーツを布団に落ちつかせ、灯りを消した。 今夜は、泣かない。 二〇〇七年五月
設定パスワード
画像ファイル
編集する
削除する
[
掲示板ナビ
]
☆無料で作成☆
[
HP
|
ブログ
|
掲示板
]
[
簡単着せ替えHP
]