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「チェリィ」 小さな、寝惚けた部屋の小さな窓から、眺め続けた24時間目。 夏を捕えた柵の先、私のお庭のさくらんぼ。ミルクの匂いに誘われて、濃い色の手首にゅっと伸ばした。西からの強い誘い。春の転寝は瞬きをして、それでも手を伸ばす、太陽の方角。 私の祈りはこの硝子窓を通り越せるのかしら。嗚呼きっと、この硝子は午後の憂いで出来ていて、3時の杞憂が混入していますから、名前をつけるのは絶望的なのでしょう。 それでも。 私の庭のさくらんぼ。さあ、こっちよ。なくす前に実をつけて、小鳥の気まぐれ、青い実の声 「霞む全体像」 蕾の薄紅。マーブルの雫。破片ずつ混ざるなら、手を、手を下さい。 今この瞬間、世界ではなくなった世界。いつまでもそこは大地です。そう幼子の頭で想いつめる私には勇気がないのです。 不釣り合い、椿色。若草は今。もしも私も呼ぶのなら、唇を、唇を下さい。私は世界が消えるよりもしなやかに、あなたは右手のひとふりよりなめらかに、空海の境界で出逢うでしょう。 昔むかし、どこまでも世界はひとつでした。 あたたかくこらえた呼吸。行ってしまった魚の夢が浮かんでわたしは、まどいしれ。縁取るものもないまま耳の痛いような懐かしさが、からだをおもたくしてゆくのを待ってた。 緑の髪筋からしずくは淀みなく丁寧に脈を打つ。こぼれさす。泣かないで。わたしの土はいつも淡くて、心細い。 上手にはできないからそのままで、おだやかに髪はのびつづけます。茎と根は小指を形づくります。花芽、だけは、途方に暮れたように瞼、忘れてください。 ただ互いに、たどりつけるよう、たどりつけるよう。 融けないわたしは同じうた止まない。星の落ちる弧はあとかたもない。息を殺していて、身じろぎもせずにいて、花咲くを待つ人にはなれないのはわたし。 草の匂いにあおい肺はいっぱいになって、だけど、これっきりになら、泣いてしまう。
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