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箸で摘んだ 年輪があった 目で舐めた ぼろりと崩れ落ちた 左利きの私に 祖父はそっと諭した ぼそぼそと 聞き取れず やがてぼろりと崩れ落ちた 私の表面だけ 熱を帯びている 大きな家があった 縁側があった 風呂場があった 炬燵があった コーヒーカップがあった 埃に塗れた額があった ここに残された冬があった 水をあげよう 囲いをして 雪に備えよう みなそうしてきた これからもそうだろう 午前四時の雪かき 朝餉味噌の匂い 煙があらゆる人の からだを包み 上空に蒸発していく 昔 祖父がいた 昔 祖母がいた 昔 家族がいて 恋人がいて 友人がいた 零れ落ちる雫がいて 穏やかな季節がいた 昔 昔 へ向かう度 深い深い海の底で 骨が軋む
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