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降ります、のブザーを押し忘れて バス停をふたつ見送った 硬貨2枚で 海の匂いがするね、と言えるくらいのことは許される むずかる幼子のような まあるい昼下がり 神戸駅のロータリーから地下街へ降りたら 家族連ればかりで気が滅入った 命を孕んでみたい、 そうすればなにもかも 上手くいくような気がする 硝子張りのアーケードが 湾曲してゆくのを 子どもたちだけがじっと見つめていた そのやわらかな骨組みは 海鳥にも似て 海洋博物館は錆びた骨を剥き出しにして 鴎の子らを怯えさせる 自らの航法を思い出せないのだ その腹に宿したものが 私には見えない 命を孕んでみたい、 そうすれば飛ぶくらいのことは許される そんな気がする
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