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温かいマグカップに 楽譜が丸まって入っている 誰かが拾ってくれることを待っているのだけれど あいにく指がついている生き物が この部屋にはいない 水槽のなかではわたしの彼氏が いつかはずしたコンタクトレンズを探している それがないと君を見ることができない、 君を見ることができない、と 今年の流行り曲に乗せて歌っている 背丈よりも大きな窓を開けるけれど 気がつけば誰かがいつも閉めてしまうらしく 酸素が少なくなった部屋で 彼氏の浮気相手が発作を起こして倒れている ピークは三十分以内なの、 とかわいい顔して冷や汗をかいている 短い前髪が空へ飛んでいってしまって いつしか鳥の羽になる といったようなことを ずっと夢見てきた生活だった まともにマグカップへ牛乳を入れることさえできなかった そうして詰め込んだのは初めて書いた曲 ぼやけて光が膨張した世界は 何だか心地が良くて わたしもコンタクトをはずすことにした 水族館へ行きたいね、行こうねと 水槽に張り付いた彼氏に伝えてみた 魚の鱗は未来の光 鍵盤のうえで指が踊っている 白い小さな部屋に むりやり入れたグランドピアノは この部屋の唯一のドアをふさいでいて 出入りするたびに足を傷つけてしまう 浮気相手はそれを見てごめんなさいと泣くような やさしい女性だった 同じひとりの男を同時に 愛したということに運命を感じて 発作を起こしている最中におっぱいをあげた 長い前髪が乳首に当たるたびに ピアノの音色が半音上がった きっと彼は生まれ変わったら人間ね、 と笑ってまもなく 気を失って口から牛乳をこぼした 何だかまぶしかった すべてのものが白く反射して だから目を閉じて 指を持った誰かが 楽譜を読んでくれるのを期待して 少し眠ることにした
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