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排他的な女の子は空を所持している。 その底のほうには、白くてきれいな宇宙船や、 手垢できたない算数の教科書、軍隊の格好をし たキューピー人形や、プラスチックのマニキュ アの瓶が、ざくざくとはめられている。 何百年か前、とても優秀だったパイロットが操 縦するエスカレータで、なだらかに街をくだっ ていく。ひどく静かな通路には、電気くらげが 点々と吊るされていて明るい。 豆電球がきえるとしんでしまう人たちは、コー ドのようなものでおぎなえるだけ存在している。 きしょくわるいカラフルな配線を、ふくらはぎ のコンセントにつないだ男の子が、びしりと両 手をあげて、横断歩道をわたっている。 地下室にあるプラットフォームに漂着する。 回送の電車をぜんぶ、赤くぬりかえる。ペンキ くさい体で飛び込もうとしたら、どこからかざ わざわと動物がやってきて、すっかり女の子を かこんでしまった。(羊のお腹はあったかい。 このふくらんだり、ちぢこまったりする呼吸の なかには、体温が入っているんだろうか。解剖 したい。)少女っぽい感じのチューンが、発車 ベルのかわりに流れつづけている。 女の子のハイヒールが、かっとう、かっとう、 とないている。皮を剥いた果物みたいなくるぶ し。 薬品のにおいのするレントゲン室に、三月と六 月をつれてきて、こわれた光のぶんだけ、暗転 させてみたい。どうにか人のかたちをしている それらの、うつくしいあばら骨。(そのなかで 一番好きなのを、ぬきとって捨てるんだ。持ち 重りのしそうなそれにも、たしかに血液が回る のかどうか。) 産まれたときから女の子だけど、子宮はまだ欲 しくない。 せまい公園の空に、はいりこめなかった夕方が ぼたぼたと滴り、飴だまになって降ってくる。 かくれんぼをしていた大人たちが、すべりだい の階段から、ぶらんこのゆれぎわから、わあっ 、と駆けてきて、いっせいにスカートをひろげ た。水たま、縦縞、花柄。傘の模様のような布 を観察する女の子だけが、そのなかでやっと一 つ、ハリボテではなかった。 おちてきてしまった人工衛星をひろう。機械に よって点滅している。ハイテク、とつぶやいて 、女の子はきれいな部分から、解体をはじめた。
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