メッセージの編集
お名前
タイトル
ホームページ
本文
気づいたときには、わたしが わたしという輪郭に 縫いしろを足して 日常から切りとられていた 景色はいつも、ひどく透明なので ふりかえっても もう 戻るべき箇所を、確かめることができない 日々のあわいで耳をすます と 遠くの受粉の音がきこえる その、 くりかえされる生命の営みの隙間に入りこんだときにだけ わたしにことばが与えられる 何度も生まれて、何度も死んでいるのに わたしは誰の中にもいたことがない 縫いしろのぶんだけ余計なわたしは ただ歩くことも容易ではなく ときどき 見知らぬ誰かに、真ん中で折られて わたしの半分ともう半分が、縫い合わされそうになる 重なりたいと願うひとが、 たしかにいたはずなのに 空の、湿り気を帯びた産道を ゆっくりと朝がすすみはじめる 背景に色が差し、わたしは 覚醒し、そしてしだいに世界と縫合されていく 針が、わたしを貫きながら上下すると わたしの中で、発芽の音がする それを どんなオノマトペでも言いあらわすことができなくて 咄嗟に、 きのうおぼえたばかりの かけがえのないことばを叫ぶと、それは わたしの名まえになった
設定パスワード
画像ファイル
編集する
削除する
[
掲示板ナビ
]
☆無料で作成☆
[
HP
|
ブログ
|
掲示板
]
[
簡単着せ替えHP
]