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わたしたちがかじった 果物の不当性を うれいてくれる人がいたなら あのときちょうど 黒い錆びかけたベランダのてすりから 雫が垂れ スカートと一緒にふくらはぎも甘くした 指を果肉に埋め お互いに水分をむしり取る そうやって夏を過ごしたり、しなかった しみになった部分に 手をあてにいって 焼かれたのは ちいさな虫の集団と たくさんのわたしたちの なまなましい項 膝を剥き出して しゃがみこんで 背骨をつぶされた行列に まなざしを注ぐ 砕けたのに黒くなるなんて、と 並んだ青白い顔は 笑っている がらす一枚隔てて しかくい空虚な今日のおわり だんだんとあおく冷える空気に 大勢の声がこだまして まぼろしにはなれなかった 時間です、時間です、時間です、ので 黒いスカートが一斉に回りながら とおくにいく 数歩の呼吸でたどり着けたはず 振りかえろうとすると 首もとで襟が翻って 明かりが、照らす前に消されてゆく 睫が震えだしたけど 今はすべてが乾いている 上から落ちてくる滴はもう ない 甘い、甘い果実も 夏をこせずに、いつかとけだす ぬらした洋服も また真新しくなって しらない秘密のことばも生まれる 傷んでしまったからだも 大丈夫 わたしたちまだ 孵る前だ そう笑いあって手を繋ぐ それをみている 夕方の空気はいつだって正しい 正確にわたしたちを家へとかえそうとする 暴かれなかったわたしたちの横顔を 落下をつづけるおれんじが 強く焦がそうと迫り 白いままのわたしの項を 晒しながら ひとりでにゆく
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