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「あ、カナブンが死んでるね」 夏に冷たく落とされた、 ひだまりのとなりで もう、動かなくなったカナブンを見つけて、 君があまりにも淋しそうに言うものだから 命には限りがあるもんさ、と ありきたりな事を言うと 君は背中を丸くして、 動かなくなったカナブンを見つめていた 例えば、 この手を繋いだ先で 小さく笑う君がいて その後ろには、 大きく突き抜ける空が広がって 木々がささやかに揺れていて 木の葉がくたびれて紅く燃やされ 季節にそっと背中をおされ、 僕らは長袖を着て 君と小さな手を繋ぐ そうしているうちに、 いつのまにか 僕の背中は 小さく丸くなって くたびれた僕も燃やされて、 長袖を着た君の、 手を繋いでいるその先で、 きっと、 新しく産まれた君が 大きく、 笑っているだろう 夕日はいつも傾いて 足音も立てずに去っていく、 無数の影の先端で しがみついている僕は君に やっぱり、 ありきたりな事しか言えないものだから 君はまた 小さく背中を丸めて もう、 動かなくなったカナブンを寂しそうに 見つめるのだろうね
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