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夕食の前息子が、居間で困ったような顔をしながら床に寝転がっていた。 僕は、何を始めるのやらと思いながら、しばらくの間じっと動かずにしている息子を眺めていた、 が、 息子はなかなか動かない。 なにかあったのかと思い、どうしたのか息子に尋ねてみると、 息子は寝転がったままの状態でこちらを向き、明日の遠足の予行練習をしているのだと言った。 僕はますますわからなくなり、一体遠足では何をするのか、変わらず床に寝転がったままの息子にまた尋ねてみた。 すると息子は、ほんの僅かこちらのほうに首を上げて 「くまさんが出てきた時のたいさくなの」と誇らしげに答える。 なるほど。 またずいぶんと古い情報を、一体どこで聞いてきたのやら。 顔の表情について尋ねると、息子は先ほどやっていた困ったような顔をさらに強めて、 「これはごめんなさいの顔なの」と、言いずらそうに言い、続けて、 「くまさん、これでどっか行くんだよね。」と、嬉しそうに言ってきた。 僕は、そんな嬉しそうな息子に、なんと言えばいいのかわからず、 実にくまった! と、一瞬言葉を失ってしまい、迷ったあげく、 結局正反対の目をつむるという、意味のないことに拍車をかける提案をしてしまった。 息子はその通り目をつむり、これで大丈夫だよね、これで大丈夫だよね、と、先程よりもやや嬉しそうにしている。 これはくまったことになったな、 と、 そこへ、 台所で一部始終を見ていたであろう妻が料理をテーブルの上に起き、目をつむり寝転がっている息子の両脇を掴み持ち上げた。 そして、おてて洗ってご飯にしようね、と、妻に言われた息子は、小走りで手を洗いにいった。 それを見送った後妻がこちらをむいて、 「じゃあ今度山でくまと出会ったら、あなたは寝転がっていてね。わたしたちはその間に逃げますから」 と、本気のようなトーンでさらりと言ってきたので、 僕は、これまたくまった! と、 目の前に居ながら聞こえないふりをして、夕食の匂いを確かめてから、手を洗いに息子の後を追いかけた。
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