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川に流されている 小さな魚のように 無数のテールランプが、 押し流されている コンリートのビルの群れが 冷たく照らされはじめ 音もなく大きく 街が広がっていく * 道路工事の標識が立ち並び 夜警の赤いランプを 誘導員が揺らしている 真夜中ではない真夜中で 白いため息が舞っては消えて そのほころびを結びつけて 私たちは満たされていく 煙突の煙が彼方 骨はここにはありません * 散り敷かれた夜の袖が はためく雲の隙間に 密かに響く鹿の鳴き声は 願うすべを知らない 山々の声 * ねんねこよ ねんねこよ 手のひらの奥で 鳴りやまない母の歌 誰も知らない記憶の底で 誰も知らない秘密の歌を * いつもの公園を通りすぎる 相も変わらず人気はない 冬と呼ばれるお前が そろそろ来る頃合いですか 枯れ葉はすでに つむじ風の仕草にまかれて 去ってしまったよ まつ毛をふるわせ 爪先まで染み渡る風に ここが秋だとやっと知る 電灯で照らし出された木々が さやさやと揺れている 波打つ池は煌めいて どこか海に似ていた * 街のかがり火の向こう側 夜警の赤いランプが ゆらゆらと 真夜中ではない真夜中で 夜の帳が、ゆっくりと 私へと開かれていく ねんねこよ ねんねこよ 母の歌がいつまでも 鳴りやまない、 固く閉じられた 手のひらの奥で 本当の声を枯らしながら せめて夢を、と願うのです 指先でなぞるようにして
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