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壊れたひとつの器の代わりに 金と緑の流れのなかを ひとつの仮面が鳴りつづけている はざまの窓をしたたる空 鳥がゆうるりと 首を踏切へ向ける 夕の稲荷 すぎる列車 雪の稲荷 破邪の衣 窓枠の心臓 陽を振り返る猫 咲かぬ花の群れ 地平の影を聴く 大切なものを壊すたび かけらは鈴になってゆく 幾度も鈴を舐めるたび 口は鈴になってゆく 林の隅で 小さな息が招いている 衣擦れが夜を起こし 緑に潤む 空を覆い 仮面は渡る 音は降り下り 鈴を鳴らす
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